2013 Fiscal Year Research-status Report
合衆国の芸術文化政策・文化戦略とアメリカ舞台芸術実践のポリティクス
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24520276
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
戸谷 陽子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (30261093)
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Keywords | 連邦演劇プロジェクト / 全米芸術基金 / 文化政策 / 芸術政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、アメリカ合衆国舞台芸術の理論と実践における、ポリティクスの諸問題についての研究の一環として、国家的な文化戦略および自治体・非営利団体等公共の芸術文化助成のあり方を、演劇実践活動の(美学的・政治的)な戦略との関係性において歴史的に再検討し、合衆国の芸術文化政策・外交文化戦略との連動を明らかにすることで、この関係性をとらえなおし、舞台芸術論および現代アメリカ演劇史の文脈の中で、再度位置づけを試み、今世紀の展開を標榜するための新たな学術的指標を提示することにある。 平成25年度の研究計画は、「国家の芸術助成と文化政策:連邦演劇プロジェクトと全米芸術基金(NEA)」と題したテーマに沿って大恐慌の時代から第二次大戦を経てNEA設立に至るまでの、国家が介入した演劇のプロジェクトとその文化政策(戦略)について検証するというものであった。 アメリカ現代演劇の代表的な劇作家アーサー・ミラーも、テネシー・ウィリアムズも若い頃(1930年代)に連邦政府の芸術助成を受けて作品を制作したという事実から、この連邦政府の助成(Federal Theatre Project)の成立過程を検証するべく、資料や文献を収集し、歴史的な経緯の把握を含めた基礎研究に従事した。その際、この制度に助成された劇作家の政治的思想および経済状況がどのように無/意識的に作品制作に影響したかについても考察を試みた。 その後第二次大戦を経た後に設立された全米芸術基金の成立過程は、すでに過去に検証済みであるが、このたびはとくに冷戦という世界構造を意識しつつ検証に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画に鑑み、①連邦演劇プロジェクトに関しては歴史的背景を考察し計画に準じて研究を進めることができおおむね予定通りに検証が進んだが、②全米芸術基金の成立過程についての研究は、過去の研究の整理を行う予定が滞り、やや遅れており、また研究考察を言語化する作業が大幅に遅れているため、研究成果を論文として発表できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き連邦演劇プロジェクトおよび全米芸術基金に関する資料を収集・分析しつつ、平成26年度においては、「外交政策としての芸術助成と教育政策における演劇」のテーマに沿い、第2次世界大戦後、主に太平洋以西の覇権を意識した文化政策(ロックフェラー財団基金、フルブライト奨学金等)についての考察を開始する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度、所属機関において申請書作成等の業務が生じ、当初の計画どおりにエフォートを注ぐことができなかっため。 次年度の調査回数を増加し、資料の収集のために使用する予定。
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