2015 Fiscal Year Research-status Report
合衆国の芸術文化政策・文化戦略とアメリカ舞台芸術実践のポリティクス
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24520276
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
戸谷 陽子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30261093)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 全米芸術基金 / 文化芸術政策 / 舞台芸術 / Artistic Choice / マッカーサー財団 / ドリス・デューク財団 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アメリカ合衆国舞台芸術の理論と実践における、ポリティクスの諸問題についての研究の一環として、国家的な文化戦略および自治体・非営利団体等公共の芸術文化助成のあり方を、演劇実践活動の(美学的・政治的)な戦略との関係性において歴史的に再検討し、合衆国の芸術文化政策・外交文化戦略との連動を明らかにすることで、この関係性をとらえなおし、舞台芸術論および現代アメリカ演劇史の文脈の中で、再度位置づけを試み、今世紀の展開を標榜するための新たな学術的指標を提示することにある。 平成27年度は「文化政策と芸術価値基準(Artistic Choice)の関係性」を研究課題とし、検閲事件以降のNEAと現在の芸術助成金の実態を検証する計画に沿って研究を行った。公的基金に関しては、その活動・使命・選抜基準などを、アーティストに関しては、基金と作品との関わり・影響関係を中心に調査を進めた。公的基金・助成金に関しては、国家芸術基金(NEA)、ニューヨーク州芸術カウンシルを中心に、マッカーサー財団やドリス・デューク財団等私立の芸術助成団体についても基礎的な情報を収集した。NEAに基金交付を取り消されたカレン・フィンレー等、主にセクシュアリティーの問題を扱うパフォーマンスアーティストらの活動の現況について、マッカーサー受賞者リー・ブルーアー、ジョン・ジェスラン、ジュリー・テイモア、またたとえばロバート・ウィルソン等基金獲得のポリティクスにたけているといわれるアーティストらの活動内容と思想および意識の関わりを文献や新聞・雑誌等の情報を収集し、双方のポリティクスの関係性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在本務大学でグローバル教育センター長を務めており、複数回の海外出張があるため、それ以外に海外での聞き取り調査を計画することがスケジュール的に困難であるため、計画していた聞き取り調査の進捗が遅れたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に対し進捗が遅れている部分の研究に力を入れる。とくに、高等教育の場での演劇実践教育の検証、リージョナルシアターによる観客養成の検証、私立の文化芸術助成団体各種(アジアソサエティ、ジャパンソサエティ、マッカーサー財団、ドリス・デューク財団等)の検証を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年4月より本務校でグローバル教育センター長に就任し、海外出張を含め、業務が増加したため、海外調査が実施できない等、当初の研究計画の実行に遅れが生じたことにより、予定通りのエフォートが達成できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外出張を夏季休業中に実施するための旅費、資料整理の拡充のための謝金等に使用する。
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Research Products
(1 results)