2012 Fiscal Year Research-status Report
20-21世紀アメリカ演劇の政治学研究―1900年からポスト9.11
Project/Area Number |
24520284
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
貴志 雅之 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (30195226)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アメリカ演劇 / 政治学 / ユージーン・オニール / テネシー・ウィリアムズ / オーガスト・ウィルソン / トニー・クシュナー / 亡霊 / 人種 |
Research Abstract |
平成 24 年度研究実績は大きく4つに分類される。第1は本研究課題全体構想の俯瞰的データ構築の基礎作業として、20世紀転換期~第2次世界大戦終結期の演劇と政治の関係性、劇作家の演劇政治学に関する検証・考察をユージーン・オニールを中心にメロドラマとリアリズム演劇を対象として実施。同研究成果の一旦は2013年度にオニール研究としてさらに展開する予定。以下2~4の研究項目は、すべて当初の研究計画予定では次年度以降のものを前倒しにして実施したものである。 第2として、テネシー・ウィリアムズに関して以下の2種類の政治学研究を発表:(1)フォーラム「アメリカ文学と亡霊」(個人発表タイトル:「テネシー・ウィリアムズ、亡霊のドラマトゥルギー ― 記憶、時間、エクリチュール」平成24年12月1日,第56回日本アメリカ文学会関西支部大会;(2)「エクリチュールと私生活を巡るウィリアムズ晩年の亡霊劇―亡霊・狂気・罪悪感」『アメリカ演劇』第24号(平成25年3月1日発行)pp. 23-42. なお、同時期に行った今一つのウィリアムズ研究は平成25年秋刊行の共著『アメリカン・ロード―クロスメディアの文化学』(英宝社)で掲載予定。 第3はオーガスト・ウィルソンの「20世紀サイクル」のアフリカ系アメリカ人共同体と人種的遺産の継承を巡るウィルソンの演劇政治学研究を日本アメリカ演劇学会第2回大会シンポジウム「オーガスト・ウィルソンの「20世紀サイクル」とその遺産」で発表。 第4は、トニー・クシュナーの『エンジェルズ・イン・アメリカ』における天界と人間界におけるディザスターの間テクスト性に関する政治研究を行い、その成果は2013年秋刊行予定の共著『災害の物語学』(世界思想社)で掲載の予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で記載したように、当初計画以上に研究は進展している。本年度計画の基礎作業として掲げた全体構想の俯瞰的データ作成のための必要資料の検索・収集・データ化及び20世紀転換期~第2次世界大戦終結期における演劇と政治の関係性と劇作家の演劇政治学に関する検証・考察の基礎作業は、当初より対象とする劇作家数を絞り、特定の劇作家に焦点化したことで検証・考察の範囲は狭まったが、そのレベルが深まった。 また、次年度(H25年度)以降の年度計画にある研究項目のうち、すでに数項目については前倒しで着手し、その成果を学会の年次大会および論文で発表。さらに平成25年度秋刊行の研究書2冊でも発表される。この点から研究計画の時系列的予定以上の進捗状況であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の「現在までの到達度」が示すように、これまでの進捗状況は良好である。今後は当初研究計画にそって各年次の研究項目を消化するとともに、時系列的研究計画を柔軟に調整し、国内外の学会と他の研究者との共著執筆状況を見極めつつ、研究計画では別年度の研究項目でも本研究課題全体のなかでの各研究項目間の相互関連性と連続性を重要視し、次年度に発展的に続く当該年度の研究のさらなる推進を図っていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、日本国内の学会シンポジウム等の発表や共著執筆作業のため、当初予定していたアメリカ合衆国での調査研究・資料収集を取りやめ、その旅費と人件費・謝金予算を本研究課題、特に本年度の研究内容に必要な文献・DVD資料等の購入費用に充当とした。それにより、上述の研究実績に示したとおり次年度以降の研究項目を前倒しで今年度計画の研究と連動して遂行することが可能になった。 次年度は、国内での学会および研究打ち合わせとともに、合衆国フロリダ州オーランドで8月に開催のATHE(Association for Theatre in Higher Education [米国高等教育演劇協会])の2013年度大会での各国研究者との情報交換と資料収集に次年度旅費をを使用。それ以外は文献資料・DVD資料等のさらなる充実のための主たる物品費を充当する予定である。
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Research Products
(6 results)