2012 Fiscal Year Research-status Report
18ー19世紀の英語語彙と文体:理性・道徳・感情に関する概念の表現
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24520292
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松谷 緑 山口大学, 教育学部, 教授 (70259737)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 英国小説 / 近代英語 / 語彙 |
Research Abstract |
本研究は18世紀から19世紀の後期近代英語について、理性・感情・道徳に関する概念を表す抽象語を取り上げ、その意味を明らかにし、類義語の体系化を目指すものである。 Jane Austenの小説にみられる理性・感情・道徳に関する語彙の検索とそれぞれのテクスト文脈における意味の整理を行った。特に、mind と共起する語群として、delicacy, elegance, beauty, liberty, sensibilityなどに注目した。また、sense, sensibility, sensibleといった一連の語彙については、近代英語期における個々の意味変化と、それぞれの関連性、さらには、それぞれの語が他のどういった語や概念と共起するかという点について調査した。先行研究でも、文学作品において文脈を踏まえて語の分析をすることにより、その概念を表す意味の体系において現代英語のと異なる用いられ方がある可能性は指摘されているが、本研究においても、詳細に、通時的な辞書や当時の社会や文化を反映する文献での記述を考察することにより、当時の語彙体系において現代英語と異なる意味の特徴を示す場合があることがある程度確認できた。 特に大きな成果としては、当該年度訪れたオックスフォードの図書館では、当時のレキシコンの記述や時代の社会を映し出すニュースジャーナルを資料として用いることができ、そこから読み取れる価値観が語彙分析に示唆をもち、意義深いものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小説における語彙研究については、ある程度成果を見たが、研究時間に制約があるため、まだ扱うテクストや作家が限られており、さらに言語資料を拡大したい。図書館での当時の資料の閲覧・調査については、図書館には豊富な資料がありながら、現在まで調査ができたのはごく一部であり、まだ充分ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、小説の言語についてその分析を進める一方、書簡などその他のテクストタイプの言語にもコーパスを拡大する。理性・道徳・感情に関して取り上げるべき語彙の精査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
近代英語関係の図書と社会言語学関係の図書を中心に購入し、当時の社会背景を考慮した語彙分析を行う。国内の学会で成果を発表し論文にまとめる。
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Research Products
(2 results)