2013 Fiscal Year Research-status Report
18ー19世紀の英語語彙と文体:理性・道徳・感情に関する概念の表現
Project/Area Number |
24520292
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松谷 緑 山口大学, 教育学部, 教授 (70259737)
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Keywords | 英国小説 / 近代英語 / 語彙 |
Research Abstract |
本研究は18世紀から19世紀にかけての後期近代英語と呼ばれる時代の英語の語彙のうち、特に、理性、感情、道徳に関する概念を表す抽象語をとりあげ、その意味と用法を当時の社会状況に照らして明らかにするものである。 Jane Austenの小説にみられる理性、感情、道徳に関する語彙のそれぞれの場面のテクストにおける意味とその語彙を使用することの意義について、考察を行った。 例えば、mindは人間の意識・思考・感情など、人が判断をする際働かせる総合的な活動の場として捉えることができる語であるが、Jane Austen 特有の用い方や定冠詞・不定冠詞の有無についても興味深い点が指摘される。mindが表すのは人の内面的性質(innate qualities)のもので、eleganceやaccomplishmentsがマナーや知性に関わって演出され得るものである一方で、moralsに関わる人格の重要な基盤を示すものとされる。このようなmindという語がどういったコロケーションで用いられているかに注目してみたところ、_Emma_の中でも、the beauty of mind, the beauty of a mind, all the elegancies of mind, delicacy of mind, liberty of mind などといったコロケーションで用いられている。mindを核として用いられる抽象概念を表す語彙について、そのコロケーションや、当時の英語史的、また、社会的時代背景をふまえて考察した。 また、Jane Austenの作品の注釈をつける研究会に参加することで、テキストの精緻な読みを他の研究者と確認し、より文学的な観点からの解釈を深め、語彙理解についても協議する機会をえられたことは意義深いものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小説における語彙研究については、ある程度の成果をあげているが、研究時間に厳しい制約があったこと、また、一方で、小説というテクストの抽象語を扱うため、文学的価値、社会背景、作家の意図といったところまで踏み込んで研究すると一語でも多面的調査と深い考察の必要が生じ、扱う語彙数の拡大が課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、小説の言語についての分析を進める一方で、扱う語彙の精査が必要である。ある程度類似の語彙の比較も行いつつ、核となる重要語に絞って、コロケーションや使用場面の文脈やテクストにおける使用の意義について慎重に考察をすすめる。コーパスについては、書簡などその他のテクストタイプの言語にもコーパスを拡大する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画より若干作業が遅れており、洋書で時間がかかるものもあり、図書の選択が間に合わなかった。 図書の購入。
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Research Products
(2 results)