2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520294
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 勤 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (10216731)
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Keywords | コンコード / ヘンリー・ソロー / エレミヤの嘆き / ローカル・ナラティヴ / 歴史言説 / アメリカン・ルネッサンス / ダニエル・ウェブスター / ピューリタニズム |
Research Abstract |
平成25年度の研究計画としては、コンコードの歴史言説、およびマサチューセッツにおける地方史ブームの背景(ローカル・ナラティヴの形成)についてさらに考察を進めることであった。より具体的には、24年度に刊行した拙著『コンコード・エレミヤ』(金星堂、2012年)を補充するかたちで、コンコード言説に関する論考を進展させることであった。その際、レミュエル・シャタックの『コンコード史』、エマソンの「コンコードの歴史言説」、エドワード・ジャーヴィスの回想録等を参考書として使用する計画であった。 主な成果としては、「ソローとダニエル・ウェブスター ― 『コッド岬』のサブテクスト」という論文を執筆し共著として刊行した(西谷拓也・成田雅彦編『アメリカン・ルネサンス ― 批評の新生』開文社、2013年、 pp.61-81)。また24年度に行った口頭発表「殉教のレトリック ― コンコード、プリマス、ハーパーズ・フェリー」(九州アメリカ文学会第58回大会)を拡充して、「死の修辞学」(『ジョン・ブラウンの屍を越えて』(仮題)所収予定)という論文を執筆した。さらに本研究課題に関連する研究発表「事故と座礁の物語―アメリカン・ルネッサンス文学における悲劇性」(九州アメリカ文学会第59回大会、於県立長崎シーボルト大学、2012年5月11日)を行った。 海外研修としては、25年度9月15日より10日間ハーヴァード大学のワイドナー図書館において調査・資料収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度中に、本研究課題に関する単著『コンコード・エレミヤーーソローの時代のレトリック』(金星堂、2012年)を上梓し、研究の進捗に対する一定の成果が得られたと考えている。さらに 25年度に「ソローとダニエル・ウェブスター ― 『コッド岬』のサブテクスト」という論文を共著(前掲)として刊行し、コンコード言説をプリマスの歴史言説との関連に捉えることができた。 さらに、ソローによるジョン・ブラウン弁護という問題を、ニューイングランドの文化史研究の一環として捉えた論文「死の修辞学」を執筆した。 さらに昨年度の主要業績としては、インドの研究者の要請に応じて、環境批評の観点から “Minamata and the Symbolic Discourse of the South” という論文をSlovic, Scott, Swarnalatha Rangarajan, and Vidya Sarveswaran, eds. Ecoambiguity, Community, and Development (Lanham, MD: Lexington Books, 2014, pp. 59-69) に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる26年度については、マサチューセッツの地方史ブームの背景についてさらに資料調査を行う予定である。アラックの著書 The Emergence of American Literary Narrative 1820-1860等を参照し、歴史と文学の言説空間の密接な関連性について批評の理論的枠組みを補強したい。
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