2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24520294
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 勤 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (10216731)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マサチューセッツ州コンコード / コンコード・エレミヤ / ローカル・ナラティヴ / ヘンリー・ソロー / ラルフ・エマソン / ニューイングランド / 奴隷制反対運動 / 教育改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度の研究計画としては、マサチューセッツの地方史の背景についてさらに資料調査を行うことであった。より具体的には、19世紀前半におけるコンコード言説の形成を検討し、そうした地方史(ローカル・ナラティヴ)とソローの社会改革論集がいかに密接に関連したかを考察することであった。 26年9月5日より10日間ハーヴァード大学に滞在し、ワイドナー図書館において研修を行ったが、その成果として「根をもつということーソローの文化論」(日本ソロー学会、北星学園大学、2014年10月)、”Beyond Duality: Thoreau’s Redefinition of Self-Culture”(東アジア文学環境学会、名桜大学、2014年11月)、「背後の自然 ― 『ウォールデン』再読」(九英会、九州大学、2015年2月)という3件の研究発表を行った。なお、ハーヴァード大学での研修を通じて、「座礁の文化史 ― アメリカン・ルネサンス文学と海難事故」という研究テーマを着想し、そのプロジェクトが科研の基盤研究(C)(平成27-29年度)に採択された。
26年度は本研究課題の最終年度にあたり、これまでの研究内容と成果を総括すると、24年度中に本研究課題に関する単著『コンコード・エレミヤーソローの時代のレトリック』(金星堂)を、さらに 25年度に「ソローとダニエル・ウェブスター ― 『コッド岬』のサブテクスト」(『アメリカン・ルネサンス 批評の新生』所収。開文社)、「経済と道徳 ― 綿花をめぐる物語」(『環大西洋の想像力』所収、彩流社)を刊行して、ソロー文学を歴史的視座から考察するうえで一定の成果が得られたと確信する。他方において、課題として残されたのは、コンコード・レキシントンの戦いにおける義勇兵の役割、19世紀中盤における 農業改革と市場経済の浸透等の考察である。
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Research Products
(5 results)