2014 Fiscal Year Research-status Report
19-20世紀転換期のブラック・フェミニズムにおける政治的言説
Project/Area Number |
24520308
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
宮津 多美子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (60509660)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 女性クラブ運動 / アフリカ系アメリカ人 / 革新主義時代 / フェミニズム / アンナ・ジュリア・クーパー / フランシス・E・W・ハーパー |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は19-20世紀転換期のアフリカ系アメリカ人(黒人)女性フェミニストらによってなされた人種・ジェンダーに関する言説を精査し、その背後に込められた社会政治的意図を探るものである。 平成26年度は同時期の黒人女性フェミニストであるアンナ・ジュリア・クーパー(Anna Julia Cooper)とフランシス・E・W・ハーパー(Frances E. W. Harper)を中心に研究を行った。ともに1892年に発行された二人の著作、A Voice from the SouthとIola Leroy, or Shadows Upliftedを取り上げ、作品に込められた作者の社会政治的プロテストを読み取った。クーパーによるA Voice from the Southは1886年から1892年までの彼女のエッセイを収録したもので、アフリカ系アメリカ人女性による初めての本格的な評論集である。この評論集は女性クラブ運動を通して社会活動に従事し始めた黒人女性らにフェミニスト思想・理論を与えた。また、ハーパーによる小説Iola Leroyは、人種的アイデンティーの変化において混血のヒロインが経験した「悲劇」から、当時の人種イデオロギーの恣意性を暴いた。二つの作品でともに取り上げらているのが「キリスト教」と「教育」であり、政治的な言説の中で語られるこれらの要素は、当時のフェミニスト作家が擁護した民族向上の方策であると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は口頭発表を契機として発表原稿を論文へと計画的に展開することができた。文献研究に従事しながら、今後の研究に向けての文献収集も進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は最終年度となるため、これまで行った研究の成果に関する発表を行いながら、研究課題全体の成果を総括する作業に当てたい。また、平成27年度は未だ着手していないフェミニストの研究も併せて行いたい。
|
Causes of Carryover |
研究課題の成果発表および課題全体の総括を行うため、研究期間の延長を申請し、承認されたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に文献・資料の収集に使用したい。
|
Research Products
(3 results)