2015 Fiscal Year Annual Research Report
19-20世紀転換期のブラック・フェミニズムにおける政治的言説
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24520308
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
宮津 多美子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (60509660)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 女性クラブ運動 / 革新主義時代 / ブラック・フェミニズム / アクティヴィズム / NACW / メアリ・チャーチ・テレル / アイダ・B・ウェルズ / アンナ・ジュリア・クーパー |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は19-20世紀転換期に人種差別・ジェンダー差別と闘ったアフリカ系アメリカ人(黒人)フェミニストによってなされた言説を精査し、その政治的意図を探るものである。研究では黒人女性クラブ運動の主なリーダーであったフェミニストを取り上げた。平成24年度には黒人女性初の全国組織である全国黒人女性協会(NACW, National Association of Colored Women)の初代会長として女性クラブ運動をリードしたメアリ・チャーチ・テレル(Mary Church Terrell)を、平成25年度には反リンチ活動家として活動したアイダ・B・ウェルズ(Ida B. Wells)を、平成26年度には民族向上に貢献した教育者アンナ・ジュリア・クーパー(Anna Julia Cooper)と作家・社会活動家フランシス・E・W・ハーパー(Frances Ellen Watkins Harper)を、平成27年度には19-20世紀転換期のブラック・フェミニズムにつながる前段階の動きとして、奴隷制廃止運動での女性の人種間連携に注目して研究を行うとともに、これまでの研究成果を論文として発表した。 世紀転換期に活躍したフェミニストの多くは南北戦争前後に生まれ、戦後、解禁された初等・高等教育の恩恵を受けて教職に就き、民族の社会的向上を側面から支援した女性である。本研究で取り上げた黒人女性の著作には、民族意識の鼓舞、白人への抗議の言説が読み取れる。高い社会意識をもつこれらの女性らはメディアを通じて女性の政治的権利(投票権)を要求し、当時、頻発していたリンチに対して抗議を行った。さらに、中央政府の冷酷な処遇に対して各地に女性クラブを結成し、自助サービス(教育、保育、就職支援、衛生指導等)を提供することで、主に黒人女性の社会的向上を側面から支援したことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)