2014 Fiscal Year Research-status Report
英米文学におけるトランス・アトランティックなエンブレムの受容と変容
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24520311
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
松田 美作子 成城大学, 文芸学部, 准教授 (10407611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 光重 成城大学, 文芸学部, 准教授 (60367266)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 宗教図像 / 宗教的エンブレム / トランスアトランティック |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、研究代表者はこれまでに収集した資料の分析や考察のさらなる展開を目指し、同時に対外的に交流を図る目的で、11月29日、成城大学において、シンポジウムを企画、講師と司会をつとめた。「新・旧大陸における宗教図像とテクストの相関」と題して、17世紀英文学の円月勝博氏、アメリカ文学の巽孝之氏、17世紀フランス美術の木村三郎氏を迎え、多様なエンブレム的イメージが、トランスアトランティックに受容されていったことを確認できた。また、大学院生はじめ、聴衆からも質問を受け、エンブレムに関する啓蒙的な活動ともなった。資料収集に関しては、国内の図書館収蔵のエンブレムブックや文献を調査した。そして、初めてアメリカで出版されたフランシス・クォールズの版本を入手でき、今後のアメリカにおけるエンブレムの受容と変容を考えるうえで、有意義であろう。 佐藤は、日本アメリカ文学会東京支部(6月例会)のシンポジウム「宗教とアメリカ文学」における司会と講師をつとめ、「ウォールデンにおける聖なるもの」において、宗教的なイメージを論じた。また、11月29日のシンポジウムにおいて、運営の協力をした。資料収集では、17世紀ピューリタン神学者、ジョナサン・エドワーズ、18世紀ではフランクリンやチャールズ・ブロッグデン・ブラウン(小説家)、19世紀ではエミリー・ディキンソンの資料を収集し、宗教的なエンブレムとテクストのイマジェリの考察をはかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究において、16世紀英国に「大陸」から受容されたエンブレムが、大西洋を渡って、ピューリタンの植民とともに新大陸にも17世紀以降受容されていったことが確認できた。とくに、フランシス・クォールズの『エンブレム集』(1634年)が、ピューリタンの指導者たちによって用いられ、信徒の啓蒙や教育にも影響を及ぼした可能性のあることがわかり、英文学のみならず、アメリカ文学におけるエンブレムの影響を再発見できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、海外調査に向かうことができなかったため、それは来年度に行うこととし、その機会に宗教的なエンブレムを研究する上で重要なフランシス・クォールズの版本を、17世紀から19世紀にわたって、英国において調査し、今後の研究に用いる予定である。また、アメリカ東海岸におけるクォールズの受容について、当時のプリマーなどを調査し、イギリス、アメリカ双方において、エンブレムの受容と変容を研究したいと考えている。
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Causes of Carryover |
トランスアトランティックなエンブレムの受容と変容を調査するため、海外の研究機関での資料収集や、研究者との交流をはかる予定が、先方とのスケジュールがあわず、実行できなかった。そのため、海外の研究機関へ次年度に出張し、必要な資料の取集や、研究者との交流をはかることとする。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に、スコットランド、グラスゴー大学図書館のエンブレムコレクションを調査し、フランシス・クォールズを中心とした資料の収集をおこなう。また、グラスゴー周辺の建築物を調査し、現存する17世紀のエンブレム的な装飾の資料も合わせて収集する予定である。
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