2014 Fiscal Year Annual Research Report
近代英国を中心とするエンブレムにおける宗教と科学に関する学際的研究
Project/Area Number |
24520314
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
植月 恵一郎 日本大学, 芸術学部, 教授 (10213373)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 三郎 日本大学, 芸術学部, 教授 (00130477)
出羽 尚 宇都宮大学, 国際学部, 講師 (00434069)
松田 美作子 成城大学, 文芸学部, 准教授 (10407611)
伊藤 博明 埼玉大学, 教養学部, 教授 (70184679)
山本 真司 天理大学, 国際学部, 准教授 (80434976)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | エンブレム / ヘロニモ・ナダール / イコノグラフィー / Fortuna (Chance) / 挿絵 / シェイクスピア / くじ引き / イエズス会 |
Outline of Annual Research Achievements |
松田は、宗教的エンブレムでは、ほとんど顧みられることのないFortuna《運命の女神》であるが、世俗的な文学作品では、その概念がいっそう合理的に解釈され、chanceとして展開された点をシェイクスピアの『ヴェニスの商人』を用いて例証した。山本は、エンブレムとシェイクスピアに関する松田美作子氏の著作に関する詳細な書評論文を日本英文学会の『英文学研究に』発表するとともに、『ヴェニスの商人』を中心に「運命」と「くじ引き」の関係に焦点を当てながら、近代初期英国におけるエンブレムの物質文化的側面だけでなく宗教的側面も合わせて分析・考察を行った。 出羽は18世紀から19世紀にかけて出版された英詩の挿絵の研究を行った。とりわけ、ジェームズ・トムソンの複数の詩集『四季』『自由』『怠惰の城』を取り上げ、複数の版に挿入されたさまざまな挿絵に関して、詩行、先行する絵画表現、挿絵表現、エンブレム、寓意図像集との関連を念頭に検討を行った。植月は、グレイの「金魚鉢で溺死した愛猫に寄せるオード」とブレイクが付けた挿絵に見られる猫と金魚の動物表象とエンブレムの関係について研究した。 伊藤は、イエズス会のエンブレム・ブックの先駆として名高いのは、ヘロニモ・ナダールの『福音書画伝』(アントウェルペン、1593年)であるが、それに先だって刊行されていた「図解福音書」(ローマ、1573年)の内容について分析し、『ヒイデスの導師』(天草、1592年)の題扉への影響について研究した。木村は、フランス革命期における「友愛」という政治的理念に関する図像表現が、画家ダヴィッドを中心とした環境でどのようになされたかについて分析した。他方、フランス17世紀の画家、プッサン作《アポロとダフネ》(ミュンヘン、アルテ・ピナコテーク蔵)について、神話学的な表現のあり方を研究した。
|