2013 Fiscal Year Research-status Report
アジア系アメリカ文学にみる日本植民地主義批判ー暴力、ジェンダー、人種
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24520323
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
河原崎 やす子 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 教授 (80341808)
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Keywords | アジア系アメリカ文学 / 日本植民地主義 / ポストコロニアリズム / 米国帝国主義 / ジェンダー / 暴力 / 慰安婦問題 |
Research Abstract |
本研究は、アジア系アメリカ人の文学に帝国日本の占領統治がどう表象されているかを分析するものである。まず認識すべきなのは、日米両国がアジア太平洋地域への植民侵略の歴史をもつことと、その結果の植民抑圧によりアジア人の多くが故国から米国に移民したことである。そのアジア系アメリカ移民が日本植民地主義批判を表明するアジア系アメリカ文学作品の系譜を作成するにあたり、新たな作品の掘り起こしとすでに発表された作品の読みなおしが必要である。この観点から、研究2年目も文献調査と現地調査を並行して行い、以下の経緯で成果を得た。 ①まず太平洋戦争の発端である米国ハワイ州オアフ島の真珠湾を探訪、歴史背景を実体験すると同時に、米国側の言説を示す歴史書などを入手し精査した。 ②真珠湾以外の米国の軍事基地に視野を広げ、アジア系アメリカ人作家が米軍基地をどう解釈しているかを検証し論文に示した。 ③新たな注目すべき作品を収集し、とくにフィリピン系の作品に焦点を当てて日本植民地批判の系譜に位置付けるべく分析し論文に示した。 ④米国における韓国系アメリカ人の日本批判に注目し、ロサンゼルスのグレンデール市に建立された慰安婦像を訪れその実態を文献とインタビュー等で探った。またUCLAにおいてはこの件に関する見解を関係する学者たちに非公式に尋ねた。 今後、慰安婦や強制労働という中国韓国が現在大きく取り上げて問題化しているテーマを取り上げつつ、それが現在までの文学にどのように扱われているかを検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の遅れは今年度にもおよび予定はいささか遅れ気味である。 文献調査等は順調な推移だが、アジアへの現地調査は時間的な制約でまだ敢行できない。今後着手できるかどうか不確定であり、別の角度からの研究も模索中である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き文献の収集と整理、現地調査を進める予定である。現地調査には米国における最新情報の収集は不可欠である。可能であればアジア諸国および太平洋諸島を調査したいが、学会などでできるかぎりの情報収集に努める予定である。また途中の成果を主に論文で発表し続ける予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は現地調査に重点を置いた結果、物品や書籍を購入する予定が遂行できなかったために次年度使用額が生じた。 今年度は昨年度予定していたプレゼン用コンピュータ等を購入し研究をより効率的に進める予定である。
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Research Products
(2 results)