2014 Fiscal Year Annual Research Report
商業化されたセクシュアリティー十九世紀初期イギリス女性詩人たちと古典文学の受容
Project/Area Number |
24520324
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Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
川津 雅江 名古屋経済大学, 法学部, 教授 (30278387)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 英文学 / 西洋古典 / セクシュアリティ / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度である平成26年度は、これまで国内外で収集した資料・文献・刊行物のデータベース化と総括的で綿密な分析の作業に取り組み、19世紀初期における西洋古典文学の英訳版の言説の社会的文化的影響力の全貌と、女性詩人たちによる女性のセクシュアリティの商業化の過程とのつながりを多角的に考察し、本研究の目的を達成した。 研究成果の一部は、平成26年8月7日イギリス湖水地方のライダルで開催された第43回ワーズワス国際学会でLetitia Elizabeth Landonの”Sappho”の詩について口頭発表した。ここにおける質疑応答や英米独などの英文学者たちの意見を踏まえて加筆・修正した英語論文を、イギリス・ロマン派学会誌『イギリス・ロマン派研究』第39・40合併号に投稿し、査読を経て採用された(平成27年11月発行予定)。その他、イギリス・ロマン主義時代のジェンダー・感受性観の点において本研究に関連する論文を、日本ジョンソン協会編の『十八世紀イギリス文学研究―第5号共鳴する言葉と世界』に所収して出版した。また、日本バイロン協会編の『バイロン事典』(音羽書房鶴見書店、平成27年度中に刊行予定)に本研究に関連するByronの作品項目の原稿を提出した。これは現在、他項目と用語の統一作業中である。そして、最後に、3年間の研究実績を包括した研究成果報告書(A4版、和文、全63ページ)を発行した。 今後は、19世紀はじめの女性詩人たちと比較するためにByronやThomas Mooreによる古典文学のセクシュアリティに関する言説の分析を早急に終了し、本研究の成果をより一層深化し発展させた研究書の刊行(平成28年度予定)に向けて鋭意努力するつもりである。
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