• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Research-status Report

脱アメリカ化する現代アメリカ文学の諸相

Research Project

Project/Area Number 24520326
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionDoshisha University

Principal Investigator

藤井 光  同志社大学, 文学部, 助教 (20546668)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords現代アメリカ文学
Research Abstract

当該年度の研究は、①現代アメリカ文学における中心的なパラダイムである「外部」という概念についての整理を行うこと、②そのパラダイムから積極的に離脱しようとする、21世紀の文学・作家についての考察および紹介を行うこと、を中心として行われた。
①に関しては、前年度までの研究成果をまとめ、単著『Outside, America: The Temporal Turn in Contemporary American Fiction』(Bloomsburyより2013年4月刊行)の原稿を完成させるという作業が中心となった。それ以外にも、「災害」を主題とした2012年度アメリカ学会年次大会部会(D)において、現代アメリカ小説における災害表象を考察したことで、さらに平成25年度にも継続して研究を進める準備を整えた。
②については、21世紀のアメリカ文学を世界文学の一つとして、すなわち「脱アメリカ化」した様態においてとらえるという視点の確立を目指した。2012年6月にフランスおトゥールーズで行われた国際学会"Crossroads"に参加し、すぐれてアメリカ的モチーフである「ロード」から象徴性をはぎ取る形で物語が構築されている例として、Richard Powersと多和田葉子の小説を論じた。2013年3月には、東京大学で開かれた国際研究集会『グローバル化時代の世界文学と日本文学』に報告者として参加し、21世紀アメリカ文学が、「アメリカとは何か」という問いから離脱し、逆に多言語への翻訳可能性を成立条件とし始めている点を検討した。それにより、次年度以降に展開されるべき新たなアメリカ文学論の枠組みをなかば提示することができた。
また、新聞や文芸誌など各種媒体にて、新世紀のアメリカ作家たちの紹介・翻訳の機会にも恵まれた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

「脱アメリカ化」した現代アメリカ文学の全体像を提示する、という研究の目的に向けて、まずは①2000年前後までの現代アメリカ文学の特徴を概観する単著をアメリカ合衆国にて出版する作業を2012年度中に終えたこと、②21世紀に入ってからのアメリカ作家たちの特徴を論じる機会を複数得た。それにより、第二の単著執筆を可能とするような理論的枠組みを構築する、という、研究期間内の目標に向けて、おおむね順調に進行しているものと考える。平成25年度には、単著の出版のほか、平成24年度に行った学会報告の論文化も複数予定されており、出版業績としてもまとまった量の成果につながっている。
ただし、研究のもう一つの柱に挙げた、現代作家たちへのインタビューと紹介活動に関しては、発表媒体との関係もあり、当該年度に実施することはできなかった。平成25年度の活動に向けての反省材料とすべきであろう。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究推進は、①世界文学としての現代アメリカ文学を検討するための学会での報告と意見交換、②現代アメリカ作家への取材活動、の二つを中心的な方策として行われる。①はH25年度中に国際学会にて報告することで、研究を学会にアピールすると同時に、将来的な出版の可能性を探りたい。②については、複数の作家への取材が出版されることはすでに決定している。さらに取材を重ねることで、研究についての幅広い認知を得る足がかりとしたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究費の用途は主に、①国際学会への参加、および②作家への取材のための旅費、③国内でのアウトリーチ活動、が占めることになる。特に②は、H24年度に予定していた取材活動が延期になったこともあり、複数回の渡航が予定されている。また、③は、日本各地での書店や大学での広報イベントや講演などを通じ、学界の外にも研究の一端を知ってもらうための契機として重要である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012

All Presentation (3 results) Book (1 results)

  • [Presentation] Writing and Translating Outside America in Contemporary American Fiction2013

    • Author(s)
      Hikaru Fujii
    • Organizer
      東京世界文学会議 グローバル時代の世界文学と日本文学:新たなるカノンを求めて
    • Place of Presentation
      東京大学
    • Year and Date
      20130303-20130304
  • [Presentation] Literature at Crossroads, or the Outside of Japanese /American Fiction2012

    • Author(s)
      Hikaru Fujii
    • Organizer
      Crossroads/Carrefours International Conference
    • Place of Presentation
      Research Centre Cultures Anglo-Saxonnes, Universite Toulouse, France
    • Year and Date
      20120607-20120608
  • [Presentation] 災害の「いま」をめぐって:物語・戦争・動物2012

    • Author(s)
      藤井光
    • Organizer
      アメリカ学会第46回年次大会部会
    • Place of Presentation
      名古屋大学
    • Year and Date
      20120602-20120603
  • [Book] Outside, America: The Temporal Turn in Contemporary American Fiction2013

    • Author(s)
      Hikaru Fujii
    • Total Pages
      140
    • Publisher
      Bloomsbury

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi