2014 Fiscal Year Annual Research Report
14・15世紀の宗教文学と一般信徒の信仰:写本文献の伝播と変容に基づく研究
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24520329
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
田口 まゆみ 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (30216832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家入 葉子 京都大学, 文学研究科, 教授 (20264830)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 英文学 / 中世 / 英語史 / 翻訳 / 写本 / 民間信仰 |
Outline of Annual Research Achievements |
14・15世紀の宗教文学と一般信徒の信仰を写本文献の伝播と変容に基づき研究することを目的とした本企画では、その中心的研究対象として14世紀末から15世紀にかけて編纂され、その後15世紀末まで約1世紀に渡り収録文献を増やし変容を続けた宗教文献コンピレーション写本、Cambridge, Magdalene College, MS Pepys 2125を選んだ。特に、その写本に収録された文献中、14世紀以降ヨーロッパ全域に流布し、黙想と言う信仰形態を一般信徒にまで広め、信仰様式の自立化に大きく貢献した偽ボナヴェンチュラによる黙想文学『キリストの生涯』の英語訳を校訂するという作業を通して、この写本から読み取ることのできる14・15世紀の宗教文学と一般信徒の信仰の形の伝播と変容について考察するという形をとってきた。この校訂研究の成果は、Middle English Texts シリーズ(ハイデルベルグ)から出版されることになっており、2014年度はこの校訂本準備の仕上げの仕事を行った。 校訂本は対象の校訂テキストおよび、注、語彙録および作品と写本、文化的背景などについての研究成果を発表するスペースである序論から構成されるが、2014年は序論の完成をめざした。そこに集約されるべき研究成果は、国際学会、国際学会誌、書物(論文集)などによって継続的に発表してきたが、2014年も口頭発表および出版物により研究成果を発信することができた。それらはいずれも査読制度のあるもので、発表後の反応も良好である。 研究期間を終え、校訂成果を刊行する準備はほぼ整い、原稿の再確認と校正、書式の統一、文献表の整備といった作業を進めているところである。今後、この最終原稿は、シリーズ編集主幹に送り、さらに調整が行われた上で出版されることになるが、その時期は1年から1年半後と見込まれる。 本研究企画は、すでに新しい分岐企画も生み出しており、そのひとつは27年度新規基盤研究(B)としてスタートした。
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