2013 Fiscal Year Research-status Report
20世紀アイルランド小説におけるイースター蜂起の表象について
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24520331
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
河原 真也 西南学院大学, 文学部, 准教授 (80454924)
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Keywords | アイルランド / ナショナリズム / イースター蜂起 |
Research Abstract |
本年度はこれまでイースター蜂起の史的事実の再検証によって得られた資料を踏まえながら、アイルランド人作家がこの歴史的大事件をどのように描写してきたかについて、James Stephens, Iris Murdoch, Roddy Doyleらの作品を対象に、考察を加えることを主たる作業とした。作品が出版された時期の社会的背景は言うまでもないが、作家の宗旨(プロテスタント/カトリック)や政治的スタンス、さらには時代とともに変化していった事件そのものへの社会的評価といった、様々な外的要因が作家の描くイースター蜂起の表象に影響を与えていたことを最終的に確認するに至った。また、2013年6月にNational University of Ireland, Maynoothで開催された学会 "Modernism, Memory and Media"への参加は、ナショナリスト側の立場を取るアイルランド文学研究者によるイースター蜂起をめぐる言説への理解の一助となっただけではなく、政治・経済的な要因からアイルランドの過去を見つめなす必要性に気付くきっかけともなったという点で特筆に値する。 具体的な実績としては、本年度は社会貢献にも寄与するという立場から、福岡を拠点とする民間団体「日本ケルト協会」が主催するケルトセミナーで「イースター蜂起とアイルランド人作家」と題した一般市民向けの講演を行い、アイルランド研究に関する情報発信を行うと同時に、この歴史的大事件への理解が、東アジア地域の中でどう応用できるかという点についても参加者と共に考える機会に恵まれた。社会科学系の研究会においても、学際的なアプローチに基づく「イースター蜂起と文化ナショナリズム」と題した発表を行い、他領域の専門家からの助言を得られた点も極めて有効であった言えよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2013年4月より情報処理センター主任という、本務校の教育系情報システム全体にかかわる役職に就任したため、所属学科の校務以外の仕事で拘束される機会が多くなった。そのため、集中して研究課題に取り組める環境が激減したことが達成度をやや遅らせるという事態を招いた第一の理由として挙げられる。昨年度に得られた文献情報や、オンライン・データベースによって得られた資料によって、歴史面での検証はかなり進んでいるものの、イースター蜂起を扱った小説の掘り起こし作業と、それを論文化する作業において遅れが見られる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度においては、これまでの研究成果を公表するため、主に国内学会・研究会での研究発表や関連領域を扱う研究会出席のために、申請した国内旅費の全額をその出張に使用する予定である。また物品費としては、近年発刊されたアイルランド文学の社会的背景に関する研究書を多数購入する予定である。
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