2015 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀末フランス文学におけるゴシック・リヴァイヴァルとヘレニズム
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24520348
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 靖恵 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (90313725)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フランス文学 / ゴシック教会の彫刻 / プルースト / エミール・マール / ジョン・ラスキン |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,リジュー大聖堂とタン旧教会の現地調査を行い,植物表象に焦点を当て,古代ギリシアの影響を継承しつつフランス独自の表現様式を探った12~13世紀のフランス宗教美術に関する考察を深めるとともに,次年度以降の研究の足がかりとした。リジューについては,西正面南玄関を中心に彫刻のモチーフと修復状況を研究した。リジューに関する先行研究の調査,ラスキンやフランスの作家(シャトブリアン,プルースト等)の言説の検証も行った。 タンについては,これまでの傾向と異なり,細部の彫刻ではなく,教会全体の立地条件,つまり周囲の自然と建造物の融和に着目した。これは19世紀の英仏の文学と美術で流行した廃墟趣味を下敷きにしている。これについて調査するとともに,タンの教会に関する資料の整理を行った。またプルーストの草稿中に言及があることに着目,架空のノルマンディーの教会の生成についての研究も行った。 以上の成果は,フランスの専門誌,また研究期間外ではあるが平成28年度4月5日にパリ第3大学のセミナーで講演の形で発表した。 合わせて初年度から続けているエミール・マール草稿については,自然表象に関するメモを中心に解読と資料収集を進めた。 研究期間を通して,フランス各地の教会の現地調査,写真撮影,またそれに関する資料収集をフランス国立図書館,学士院図書館等で行い,新しい研究課題の定め,それについての下準備も行うことができた。
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Research Products
(4 results)