2012 Fiscal Year Research-status Report
18世紀フランス思想における言語論の研究―ルソーとその同時代の思想家を中心に―
Project/Area Number |
24520349
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 眞 京都大学, 文学研究科, 教授 (10238909)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ルソー / 言語論 / 18世紀 / 啓蒙思想 / 音楽論 |
Research Abstract |
平成24年6月9日、フランスのリヨンで開催された国際シンポジウム「ルソーの哲学」にこの科研費で参加し、ルソーにおける言説と権威の問題について研究発表(フランス語)を行った。 科研費による出張以外でもいくつかの研究発表を行った。(1) 9月16日、東京の日仏会館で開催された国際シンポジウムにおいて、「ルソーにおけるリズム論と夢想の詩学」と題されたフランス語の研究発表を行った。(主催者招待。)(2) 9月30日、慶應義塾大学で開催された日仏シンポジウムにおいて、「『エミール』第2編における力と言語」と題されたフランス語の研究発表を行った。(主催者招待。平成25年3月、『『百科全書』・啓蒙研究』第2号誌上で刊行。)(3) 10月21日、神戸大学で開催された日本フランス語フランス文学会秋季大会のワークショップ「ルソーからの読解」において、「声と記号 ―ルソーの思想における言語論―」と題された発表(日本語)を行った。(4) 11月10日、韓国ソウルの梨花女子大学で開催された韓国フランス学会のシンポジウムにおいて「ルソーの政治思想における制度と説得」と題された研究発表(フランス語)を行った。(主催者招待、平成25年2月同学会の会誌誌上で刊行。) 全体として、ルソー生誕300周年に当たる年だったこともあり、いくつかの国際研究集会に参加する機会があり、ルソーの言語論・音楽論に関する研究成果の一端を発表することができた。そのほか、本研究課題とは直接関係ないものの、フランス文学における歴史記述に関する研究会において、ヴォルテールの歴史観に関する発表(ヴォルテール『風俗試論』における歴史と政治」)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の中心的な部分であるルソーの言語論について、平成24年度のいくつかの発表をきっかけにして今まで発表してきた論考よりも包括的な論述に向かいつつある。今までの論考はは『言語起源論』とその周辺に関するものが多かったが、現在はルソーの思想のほかの側面(『エミール』で展開されている人間論や『社会契約論』に代表される政治思想)と言語論の関係についての考察を研究の中心にしている。この問題については以前から考察の対象としてきたが、平成24年度中に行った研究発表を通じて、ルソーの政治思想における言語論の位置について、ある程度まとまった論述ができる見通しが立ってきた。 前述の研究発表と並行して、ルソーの音楽関係の草稿である「旋律の起源」の画像を入手し、その草稿の校訂版作成の準備も進めている。また、シャンピョン社刊の新しい『ルソー全集』など、本研究課題に関する重要な文献を多数入手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は引き続きルソーの言語論に関する研究を進めるかたわら、ディドロの言語論に関する研究も進める予定である。特にディドロにおける思想と言語論や芸術論の関係に関する論考の執筆・発表をめざしている。 それと並行して、ルソーの草稿「旋律の起源」の校訂作業の準備を進めるほか、18世紀フランス思想の中でも言語論に関連するほかの原典(『百科全書』など)や重要な研究文献の調査、収集、読解を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内の研究集会への参加のための旅費のほか、物品費として18世紀フランスの思想と文学に関する図書の購入が支出の主要な部分を占める予定である。
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