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2013 Fiscal Year Research-status Report

18世紀ドイツの印刷メディアとしての児童文学の成立-『子どもの友』を例に

Research Project

Project/Area Number 24520352
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

吉田 耕太郎  大阪大学, 文学研究科, 准教授 (40551932)

Keywords18世紀 / ドイツ / 子ども / 文化史 / 児童文学
Research Abstract

平成 25 年度は、子どもと読書をめぐる18世紀ドイツにおける医学の言説の調査を実施した。医学書といっても専門的な医学書ではなく、一般読者向けの医学書、とりわけ育児書をターゲットに、ドイツの大学図書館館のデータベースを利用するかたちで調査をおこなった。開始時点では、モノグラフィーを調査対象としてきたが、まもなく雑誌の記事というかたちで育児関連の記事が掲載されていることがわかったため、調査の対象を雑誌記事にシフトすることになった。18世紀に出版された教育雑誌のなかから下記の5冊を主要な調査対象として育児関連の記事の収集をおこなった。
(1) Allgemeine Revision des gesammten Schul- und Erziehungswesens von einer Gesellschaft praktischer Erzieher (1785-1792) (2) Paedagogische Unterhandlungen (1777-1784) (3) Der Arzt (1759-1764) (4) Braunschweigisches Journal philosophischen, philologischen und paedagogischen Inhalts (1788-1791) (5) Der Erzieher eine Wochenschrift fuer Lehrer und Eltern (1781)
モノグラフィーおよび雑誌記事を、食事、衣服、住環境、教育、健康管理のカテゴリーで分類した。この文献調査をすすめるなかで、乳児の着衣、乳児の母乳育児、識字教育などのテーマは、意見の一致が見られず論争としてあつかわれていることもわかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成25年度の研究は、児童文学の受けてである子どもをとりまく環境を、育児書から光をあてるものであり、研究は、文献収集と文献の読解分析を中心とする作業としてすすめられた。調査対象とする文献は、18世紀ドイツで出版された育児書であり、当初はモノグラフィーが中心に調査をすすめていたいが、近年発表された研究文献等を参照するなかで、雑誌記事に着目する必要性がでてきた。それゆえ、年度途中から、調査対象を雑誌記事を中心にシフトすることになった。雑誌記事は、ひとつひとつの情報量は多くはないが、それだけテーマが細分化されているため、雑誌記事の分類作業は、予想していたよりも容易にすすめることができた。
児童文学の歴史についての研究はさまざまなかたちでおこなわれてきたものの、その読者である子どもの歴史については従来あまり言及されることはなかった。そのおおきな理由のひとつは、子ども自身が自らのおかれている状況等について証言を残していないことに由来するが、育児書というプリズムを通して、子どもをとりまく環境を読み解くための糸口、とりわけ、児童文学を親の子どもへのかかわり全体という大きな視点からとらえる必要性を確認することができた。

Strategy for Future Research Activity

今年度の研究により、18世紀の子どものおかれた環境を研究するための手がかりを得ることができた。子どものおかれた環境についてより具体的かつ客観的に調査するために、子どもの読書をめぐる家庭の言説へと調査をすすめていきたい。なかでも、 Hausvaterliteratur または Hausmutterliteratur と呼ばれる、家庭総合百科事典の類が 18 世紀に多 数出版されたことが確認できる。これらの史料からは、親(大人)たちが、子どもの読書に対し てどのように対処するべきと考えていたのかを読み取れると期待している。まずは文献の収集状態の確認から着手することになる。データベースとしては、ドイツの大学図書館(ライプツィヒ、ハレ、ゲッティンゲン)のものを使うことにする。収集にあたっては、マイクロフィルムまたはPDFへの複写を依頼することになる。必要があれば、上記の3大学へ、2週間程度の現地調査を実施することになる。
文献の収集と同時並行して、文献の読解作業をすすめることになる。どのようなキーワードでもって文献の類型化が可能となるか、試験的にいくつかの文献を読解し、類型化の鍵となるようなテーマの抽出をおこない。文献を整理し、18世紀の子どもがおかれた読書環境の再構築をめざしたい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2014 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Ein anderer Weg der Aufklaerung: Christian Garves Kulturtheorie2014

    • Author(s)
      Kotaro Yoshida
    • Journal Title

      contraste

      Volume: 1 Pages: 3-13

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 都市と郊外 旅行記のひとつのトホスをめぐって

    • Author(s)
      吉田耕太郎
    • Organizer
      西欧近代における旅と風景のディスクール
    • Place of Presentation
      北海学園大学
  • [Presentation] 田舎の誕生:18世紀ドイツの文化都市の形成とその余波をたどる

    • Author(s)
      吉田耕太郎
    • Organizer
      文化都市形成のダイナミズム
    • Place of Presentation
      京都大学

URL: 

Published: 2015-05-28  

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