2015 Fiscal Year Research-status Report
18世紀ドイツの印刷メディアとしての児童文学の成立-『子どもの友』を例に
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24520352
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 耕太郎 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (40551932)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ドイツ / 文化史 / 18世紀 / 児童文学 / 子どもの歴史 / 心の病 / カール・フィリップ・モーリッツ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、大きく分けて2点にわけることができる。 1点目は、主に前年度に行っていた、子どもをめぐる医学史的言説についての継続研究ならびに研究成果のまとめである。膨大な医学的言説のなかから、とりわけ(I)出産、育児ならびに(II)子どもの心の病というふたつのテーマにしぼって調査をつづけてきたわけだが、主に(II)の心の病についての調査についてまとめた。医学史的な言説を主な研究対象としてきたわけだが、心の病は、医学的な処置ではなく、教育的な処置によって治癒すると当時かんがえられていたため、調査は、当初の予定範囲をこえて、教育関連の史料にまで拡大することになった。近代的な医学が確立されるこの時期、子どもの病は、病であると同時に、道徳的な悪癖としてもみなされていたこと、別の言い方をすれば、道徳的な悪癖を病としてとらえられていた歴史的な病の像を確認することができた。 2点目は、Hausvaterliteraturに類される文献の調査である。このジャンルの文献のなかでも、子どもに関連する記述を選別して複数の史料を比較しながら調査した。調査をつづけるなかで、内容に則して分類してみると、予想をしてもいたのだが、簡易な家庭医学的なアドバイス、それから育児についての記述が多く、前年度まで進めてきた子どもをめぐる医学史的言説をあつかった研究との違いがでてこないことが判明した。研究文献等を参照しつつ、複数のアプローチを検討し、なかでも親と子の世代間の違いが表されているような記述に着目し、なるべく多くの文献を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調にすすんでいる。まず前年度から続いていた子どもをめぐる医学史的言説について研究だが、予定していたおおかたの史料は問題なく収集することができた。また本研究テーマのように、過去の文化状況を掘り起こす作業においては,懸賞論文のような薄いパンフレット類の史料が貴重となることが多い。ただし、このような数ページにしかみたないパンフレット類は、通常は散逸してしまっている。現在では、当時の雑誌記事などに記載されている要約や書評などをもとに、その内容を判断しなければならないことが多いのだが,全くの偶然から、こうした細かい資料を一冊にまとめた資料をみつけることができ、ドイツのゲッティンゲン大学付属図書館にコピーを依頼することができた。このことは結果的に史料収集の時間を節約、研究のステップアップにつながったと思われる。 Hausvaterliteraturについては、事典のような大部の著作がほとんどである。すべての史料の全ページに目を通すことは時間的に不可能であるので、まず記載内容の点から、記事のおおかたの分類をおこない、史料を読解した。もちろん関連する記載を読み落としてしまう危険もあるわけであるが、限られた調査時間のなかで効率的に調査するための手順として採用した。 次年度には、研究成果をまとめる段階にはいることになる。古い史料をあつめることはなく、むしろ最新の研究成果を積極的に取り入れて、研究をまとめる作業に早い段階から着手することが必要だと思っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は本研究野成果をまとめることが最重要の課題となる。今年度の後半にすすめてきたHausvaterliteraturについての成果をまとめることになる。さらに本研究全体をふりかえりながら、各年度にすすめてきた研究を組み合わせることによってあきらかになってくる成果をまとめつつ、最終的に本研究の総括をしたい。あわせて今後の研究につながるような課題の発見にも努めたい。
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Causes of Carryover |
史料複写のための渡航費がかからなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
緊急の調査費用ならびに史料複写に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)