2016 Fiscal Year Annual Research Report
The Process of Children's Literature Formed from the Perspective of German Print Media in the 18th Century: "Kinderfreund" as an Example
Project/Area Number |
24520352
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 耕太郎 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (40551932)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ドイツ / 文化史 / 18世紀 / 『子どもの友』 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、これまで継続してきた本研究課題の成果のまとめにあてた。本研究に着手した当初は、18世紀(ヨーロッパ近世/ヨーロッパ初期近代)の子どもの世界を、親子関係とりわけ古くからの家父長制から核家族への移行段階とからませて、子どもの世界を家庭環境の変化という視点から描き出すことを目的としていたのだが、平成26年度ならびに平成27年度の調査のなかであきらかになってきたように、子どもを病人として表象する同時代の言説に着目することによって、病人として表象された子どもたちと、彼らを見守るまたは治療する大人・社会という図式でもって、18世紀における子どもの世界を理解する整理図式を、引き継ぎつつ、全体の研究成果をまとめあげる作業をすすめた。本研究で最終的に導き出したこの整理図式をもちいることで、18世紀の子どもをとりまく世界を伝統的な家庭環境である家父長制だけでなく、この時期に確立されつつあった近代的な教育制度や医療制度がはらんでいた監視的なまなざしと関連させることができ、結果的に、18世紀というヨーロッパ近世にいきた子どもの世界をより広くとらえることが可能になったと考えている。また9月には、予定していたものではなかったものの、ドイツ・フランクフルト大学の研究者と、近世の日独の子ども像についての意見交換、カールスルーエ工科大学の人文学関連部門のスタッフと、18世紀ドイツのメディア世界についての意見交換をおこなうことができたのは有益であった。
|
Research Products
(3 results)