2013 Fiscal Year Research-status Report
新約聖書偽名書簡についての文学的研究:擬似パウロ書簡を中心に
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24520359
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
辻 学 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (50299046)
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Keywords | 新約聖書 / 偽名文書 / 第二パウロ書簡 / 牧会書簡 |
Research Abstract |
本年度は、第二テサロニケ書簡の偽名性および偽作手法についての分析を重点的に行う予定であったが、古代キリスト教史におけるこの偽名書簡の受容史を丁寧に跡付ける必要のあることがわかったため、この作業は次年度に継続して行うこととし、次年度に集中的に行う予定であった牧会書簡(第一・第二テモテ書簡およびテトス書簡)の分析から着手した。とくに3通の書簡がひとまとまりの「書簡集」として偽作されている目的について、3通を並行して分析することによって一定の見解を得た。また、2013(平成15)年7月に開催された国際新約聖書学会において、類似の研究課題と取り組んでいる国外の研究者と意見を交換した。これらの成果は、後掲の単著書籍、英語論文1本、邦語論文1本にまとめて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2年度と第3年度の研究計画に入れ替えが生じたが、第3年度に行う予定であった研究内容を概ね第2年度に行うことができたので、第3年度は第2年度に予定していた作業に取り組むことで、全体の研究計画を達成できるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記「現在までの達成度」にも記したとおり、第2年度と第3年度の研究計画を入れ替えることになったので、第3年度は主として、第2年度に予定していた第二テサロニケ書簡の偽名性および偽作手法について分析を行う。なおその際に、この書簡が真正のパウロ書簡として古代キリスト教の中で受け入れられた過程を文献資料によって跡付け、その理由を考察することにも重点的に取り組む予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は研究費を計画に基づいて適切に使用したが、その結果として少額の端数が生じた。 次年度は、平成25年度の残額3714円と平成26年度の予算を合わせて使用する。残額が少額なので、当初提出した平成26年度の予算計画にしたがって全体を使用し、平成25年度の残額は、予算の中の図書購入費に算入して使用する。
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