2013 Fiscal Year Research-status Report
亡命ロシア文化におけるテクストと視覚芸術に関する研究
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24520367
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小椋 彩 東京大学, 人文社会系研究科, 研究員 (10438997)
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Keywords | ロシア / 比較文学 / 視覚芸術 / レーミゾフ / 亡命 |
Research Abstract |
今年度は4件の口頭発表を行った。(1)4月、国際学会「英国スラヴ東欧学会2013年度年次大会」にて口頭発表(Writing and Handwriting of A.M. Remizov)を行った(於・ケンブリッジ大学)。アレクセイ・レーミゾフの、創作活動時期にともなう筆跡の変遷について、平成24年度に精力的に蒐集した資料を中心に分析した。これについては現在、26年度に収集する資料分析をまじえて出版準備中である。 (2)9月、2013年秋科学研究費補助金合同研究会にて口頭発表「故郷を遠く離れて:「移動」とポーランドのドキュメンタリーフィルム」を行った(於理立教大学)。ポーランドの若い世代のロシア観の変化と、その反映としての「シベリア」の表象について考察した。(3)10月、山形国際ドキュメンタリー映画祭において、招待講演「冷戦終了後の世界と「小さな物語」―ポーランド・ドキュメンタリー映画」を行った。現代ポーランド文学の大きなトピックである「小さな祖国」のテーマを、ドキュメンタリーフィルムのなかに見出すことにより、近年の視覚芸術と言語芸術の傾向の相似を明らかにした。なお、この報告は、以下の論文として、11月に出版された。「『シベリアのレッスン』:ドキュメンタリーフィルムとポーランドの「小さな祖国」」,高橋和・中村唯史・山崎彰編『映像の中の冷戦後世界 ロシア・ドイツ・東欧研究とフィルム・アーカイブ』,山形大学出版局,97-109頁。 (4)11月、日本ロシア文学会全国大会にて口頭発表「レーミゾフとチャプスキ:亡命芸術家の交流」を行った(於東京大学)。ロシアとポーランドの亡命グループが亡命先パリでどのような接点を持っていたかを示す研究の端緒で、今後、さらに研究を進めていく所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度にロシアの複数のアーカイヴで収集した資料の分析を進め、4月、11月に研究報告を行い整理することができた。また、パリのロシアおよびポーランドの亡命グループの関係について随時資料を収集、現在分析を進めており、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、資料収集、学会発表、国外の研究者との研究集会のための渡航費用、資料の複製代として研究費を使用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資料収集のために予定していた渡航を延期したため。 資料収集の渡航費に使用する。
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Research Products
(6 results)