2014 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀フランスにおいてリベルタン文学と版画が果たした役割についての研究
Project/Area Number |
24520376
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
関谷 一彦 関西学院大学, 法学部, 教授 (40288999)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 仏文学 / フランス18世紀文学 / リベルタン / サド / 女哲学者テレーズ / 閨房哲学 / 性 |
Outline of Annual Research Achievements |
リベルタン文学のなかでもっとも重要な作品の一つであるマルキ・ド・サドの『閨房哲学』を翻訳し、人文書院から出版した。『閨房哲学』はすでに訳は存在するが、多くが抄訳であり、全訳されているものも注は一切なく、サドの思想系譜や他のリベルタン文学との関連には何ら触れられていない。また、既訳では多くがポヴェール版を底本としている。そこで拙訳では、フランス国立図書館所蔵の初版本Enfer 535および536を底本とし、もっとも精緻な注が付されているプレイヤッド版を参照するとともに、フランスで出版されているLa Philosophie dans le boudoirのさまざまな校訂版を比較し、注を参照しながら必要と思われる箇所に注を付けた。また、「訳者解説」で本研究の目的であるリベルタン文学とは何か、リベルタン文学の典型である『閨房哲学』はどのような思想やリベルタン文学の影響を受けているのか、またその後どのような影響を与えたのかを明らかにした。 2015年2月26日‐28日にジュネーヴ大学で開催された国際学会「サドの言語」に招待され、この翻訳をもとに『閨房哲学』の翻訳の難しさ、サドの作品の文学的意義について発表した。Philippe RogerとMartin Rueffが中心となって開催されたこの学会の成果はまもなく一冊の本となって出版される予定である。また、ジュネーヴの後リヨンに立ち寄り、リヨン第二大学のDenis Reynaud、Michael O’Dea、リヨンIUFMのAnne-Marie Mercier、グルノーブル第三大学のChristophe Caveと会って、リベルタン文学が当時の18世紀社会のなかで果たした役割について意見交換し、今後の研究についても協力を依頼した。
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