2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24520385
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
林 佳世子 東京外国語大学, 総合国際学研究院, 教授 (30208615)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オスマン朝 / 碑文 / デーワーン詩 / トルコ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オスマン朝時代の文芸活動の中心にあった「詩人」と、彼らが書いた「碑文詩」のデータベースを構築し、オスマン詩をオスマン朝社会を理解するための資料として活用する試みである。イスラム文化圏には、建造年を読みこんだ詩を碑文に刻み、建物入口に掲げる伝統があるが、オスマン朝時代の碑文詩については現在に至るまでの集成は十分に行われておらず、その全容は明らかになっていなかった。本研究では、トルコのイスタンブル、エディルネ、ブルサを中心に碑文の調査を行い、詩人や詩の形式の情報を分析、さらに碑文のトランスクリプションを行い、総合的なデータベースとして公開することめざした。 この作業のため、本科研では、まずデータベースの構築をおこなった。詳細なデータを入力し検索可能なサイトを構築・運用し、データ蓄積を行った。入力されたデータは、現地調査で撮影された写真のJPEGデータ、緯度経度、碑文のある建物の名称、建設者に関する諸情報、碑文の形式、字体、碑文詩の著者、その来歴、碑文詩からわかる建設年、参考文献などである。このようにして蓄積されたデータのうち、本研究期間中に1560碑文のデータを一般公開した(http://www.ottomaninscriptions.com)。うちわけは、モスクの碑文が392、泉や給水所の碑文が642、墓所の碑文が82、宮廷内の碑文が153、狩場に建てられた祈念柱の碑文が24、マドラサや学校の碑文が36、図書館の碑文が29などである。個々の碑文詩の分析から、多くの建物の建造の由来や建造者の意図が明らかになった。 なお、本データベースには依然、公開にいたっていないデータも多い。今後は、引き続き研究を継続しオスマン碑文データベースの完成をめざす。
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Research Products
(1 results)