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2013 Fiscal Year Research-status Report

内閣文庫蔵『過日集』の総合的研究

Research Project

Project/Area Number 24520400
Research InstitutionFukuoka University of Education

Principal Investigator

藤井 良雄  福岡教育大学, 教育学部, 教授 (50136397)

Keywords過日集 / 昌平坂学問所蔵(四〇冊)本 / 毛利高標蔵(二〇冊)本 / 商舶載来書目
Research Abstract

『商舶載来書目』(国立国会図書館蔵)中の「寶暦四年甲戌年舶來書籍大意書戌番外船」に「一 過日集 壱部貳套二十本 但 脱紙一張内四巻終り脱紙数不知」等と江戸時代に確かな記録があり、この記載が内閣文庫蔵『過日集』2セットのうち、どちらの漢籍であるのか、さらなる精査が必要であると判明した。内閣文庫での調査により『過日集』2セットのうち、二十巻(20巻諸体評論1巻)となっている<A>「昌平坂学問所蔵」(40冊)本と<B>「毛利高標所蔵」(20冊)本との対照比較研究を行い、まず次に揚げる事実が判明している。
1,どちらも完本ではないこと。
2,A本(昌本)は、完本に見せるために「卷十三」と筆書き込みがなされている。
3,B本(毛本)は、二十巻20冊にするためか各巻目録に合わせて、破棄された詩人とその詩が巻により多数存在する。この部分は巻十三以外、A本(昌本)で補充できる。
そのため、前述した「寶暦四年甲戌年 舶來書籍大意書」中に挙げる数値「千四百七十余家 八千六百八十余首」に合致しない可能性があることも判明した。平成24年度は、大学紀要に「『過日集』史料(「序跋・凡例・諸体評論」)を公開した。その過程で20冊二十卷本<B>本では読むことの出来ぬ詩人と詩作が存在することが判明し、<A><B>の2セットの漢籍を照合してどちらも完本ではなく、日本に伝わる『過日集』だけでは遺漏があることに気付いた。平成25年度では、内閣文庫の<A>本と上海図書館蔵『過日集』とを調査し、遺漏の詩人名をすべて収拾した。『清初人選清初詩彙考』によれば、南京図書館蔵『過日集』が「完本」であるとされていたので調査に赴いた。南京図書館蔵『過日集』は全八冊仕立てで完本に見えるが、整形本であり完本ではない。ただ、この本では、これまで内閣文庫蔵『過日集』では、「胡」「方」の姓のみ標記されていた人名が出身地ともども判明した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

これまで『清初人選清初詩彙考』(南京大学出版社1998)では、南京図書館蔵『過日集』は「完本」と記載されていたが、完本ではなく前述した<B>(毛本)に近いものであり、編纂が八冊仕立ての二〇卷本であることも看取した。また内閣文庫蔵『過日集』では、「胡」「方」の姓のみ標記されていた人名が「胡國柱」「方光深」と出身地ともども判明したこと。南京図書館蔵『過日集』は、詩人名だけは消滅されたもの以外すべて残っており、内閣文庫蔵『過日集』や上海図書館本の墨塗り部分がすべて判明できたことが収穫である。また、『過日集』掲載詩人名総表も改訂し、目録通りの総表に修正している。
一方、第四巻「五言古」冒頭におかれるキョウ(龍+共)鼎孳の詠懐詩十一首を読解するために、キョウ鼎孳の『定山堂文集』の詠懐詩四十六首を解読中であり、鋭意進めているがまだ完了していないのが遺憾とするところである。

Strategy for Future Research Activity

前述した「寶暦四年甲戌年 舶來書籍大意書」中に挙げる数値「千四百七十余家 八千六百八十余首」に合致しない可能性があることも判明しているので、まずその確認をすること。そのため、『商舶載来書目』(国立国会図書館蔵)の再調査をし、手がかりを見つける必要がある。
第四巻「五言古」冒頭におかれるキョウ(龍+共)鼎孳の詠懐詩十一首を読解するために、キョウ鼎孳の『定山堂文集』の詠懐詩四十六首を解読して、訳注を公開すること。その詩作の意味を評論すること。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

まず、旅費の上で、北京図書館および北京大学図書館での『過日集』調査が、北京図書館改修工事のために延期されているので、北京行きの旅費が未使用であること。研究遂行の上でより効果的な漢籍を捜索中であるので叢書購入を控えたこと。
年度開始早めに北京に渡り、北京大学と北京図書館との『過日集」を調査確認すること。
『商舶載来書目』を、内閣文庫(国立公文書館)または国立国会図書館にて精査すること。
『過日集』の研究は、日本では本研究者の「『過日集』における銭謙益 其の一」・「清初の詩総集『過日集』における僧詩」という論文だけであるので、昨年度紀要に編集し公刊した「『過日集』史料(序跋・凡例・諸体評論)」等をまとめて、次年度の研究を加え『過日集』資料集成を編纂する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2013

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 過日集史料(序跋・凡例・諸体評論)2013

    • Author(s)
      藤井良雄
    • Journal Title

      福岡教育大学紀要 第62冊

      Volume: 62 Pages: 1-16

URL: 

Published: 2015-05-28  

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