2014 Fiscal Year Annual Research Report
中国知識人の挫折と信念ーー蕭乾文学と思想の軌跡をめぐって
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24520404
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Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
顧 偉良 弘前学院大学, 文学部, 教授 (50234654)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 土地改革の参加 / 思想改造の実態 / 身分社会 / 建国後の文学事象 / 文芸講話の志向性 / 文芸政策 / .ソビエト文芸理論 / 新唯物論 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、論文「中国知識人の挫折と信念ー蕭乾の思想及び軌跡をめぐってー」(前篇)をまとめた。後篇もまとめたが、紙幅の関係で、2015年度弘前学院大学文学部紀要に掲載予定。そのため、別途に前篇・後篇を合わせて科研費報告書(「中国知識人の挫折と信念ー蕭乾の思想及び軌跡をめぐってー」〝Despair ande Faith of the hinese Intellectual Over Thought Traces of Xiao Qian”2015年3月)を作成した。 このなかで、六項目に亘って蕭乾の経験した土地改革、思想改造をめぐって、建国後の文学事象、文芸政策に因む毛沢東の「文芸講話」、及び「新唯物論」に関するマルクス主義者艾思奇の論説を検証した。〈一〉土地改革の参加、〈二〉思想改造の実態、〈三〉身分社会、〈四〉建国後の文学事象(1.文芸政策、2.「文芸講話」の志向性、3.ソビエト文芸理論)、〈五〉新哲学ー「新唯物論」をめぐって、〈六〉蕭乾を振り返って。この研究は、蕭乾の経験した建国後の出来事を通じて、単なる個別の問題としてではなく、歴史的観点から中国知識人の知的精神、及び政治に対する自由批判の精神を継承するものである。中国伝統文化の継承、及び現代中国学術思想の反省につながるものと信じる。 その外に、論文「『万延元年のフットボール』を読むー詩的言語及び身体性をめぐって」(『弘学大語文』第41号)に発表した。本論考は、主として「『万延元年のフットボール』を読む上で、幾つかの問題点を提示した。大江健三郎の文学言説は、「内的人間」に興味を示すことなく、人、場所、物を介する身体感覚、及び現実対する誇張表現によって形成され、表現の豊かさを見せている。
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