2013 Fiscal Year Research-status Report
近代日本に於けるインド学仏教学の成立と展開―その書誌学的、文献学的研究―
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24520406
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
金沢 篤 駒澤大学, 仏教学部, 教授 (20286686)
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Keywords | 書誌学 / 近代日本 / インド学 / 仏教学 / 比較思想 / 東西文明 / 比較文学 / サンスクリット |
Research Abstract |
明治以降、おびただしい数量の書物が刊行され、多くの日本人を啓発啓蒙したことが想像される。書物は散逸しその大半は失われ埋もれてしまっている。誤解と誤記も山積みである。近代日本に於けるインド学仏教学の成立と展開の様を、膨大な文献の山の中に直に参入して俯瞰する。そしてその流れを文献的に明確に裏付けるべく企図されたのが本研究である。 初年度に続く本年は、昨年度の継続としてPDFなどで蓄積された資料の収集と解読とその解析を意欲的に展開し、直接的には昨年度の成果を大きく更新する作業にあたった。併せて今後の作業を見越しての新たな資料の蓄積をより広範に心がけ、予定以上の成果を得た。当初今年度に予定していた海外における資料収集の現地調査などは、事情により次年度に持ち越したかっこうとなった。 だが、研究方法自体の見直しと練磨を有意義に進め、近代日本におけるインド学仏教学の成立と展開に寄与した国の内外の人物の具体的な文献資料の収集と解読と解析を集中的に実施することにより、その成果をいくつかの論文にまとめることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心は、文献資料の収集と整理・解読を根底に持つ。古い文献は散逸し、思うように資料を参照できないとの懸念を持っていたが、国会図書館他のデータの電子化と公開が予想以上に進み、比較的効率よくその作業を遂行出来た。オンデマンド出版が引き続き盛んで、各種刊本も比較的容易に参照できるようになった。また情報の宝庫たるインターネットの方法的なぶれのない活用を通じて、重要な知見を蓄積することができた。(1)近代日本に於けるサンスクリット学の成立(2)仏教学成立の社会的背景の実情(3)インド学仏教学の成立に関与した東西交流の実情(4)著作権の明確に確立していなかった時代の出版事業の実情といった従来の観点に加えて、新たに、インド学仏教学の享受者側の代表として(5)近代日本の文学者たちのインド理解・仏教理解という観点を得て、その成果の公表の方途を具体的に確立しつつあることが、何よりも大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
日々更新されるデータの収集と解読解析のメディアに対応する研究環境の最終的な整備を図ると共に、複合的な、より組織的な資料収集と整理と解読に努める。近代日本のインド学仏教学の成立と展開に深く関わるドイツなどの欧州を中心に日本人留学生の足跡や関連文献資料に関する、最終的な実地調査を敢行したいと考えている。図書館などに眠っている貴重な資料の新たな発掘調査を通じて、資料の解析を組織的に進め、その成果を、初年度・次年度に引き続き、報分冊子や雑誌論文やインターネットのブログ記事という形で公開したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予想以上に学務繁忙であったため予定していた海外実地調査が出来なかった。購入を予定していたパソコン機器と探求していた書籍文献資料が思うように入手出来なかった。また資料のPDF化が必ずしも円滑に進行しなかったため。資料や成果作成にあたり、今後の学界の動向を踏まえて、文字入力システムをユニコードに全面的に切り替える必要が出来したが、その方式の習熟に意外に手間取り、関連機器の整備まで思うように展開できなかったこともその一因である。 海外実地調査&国内実地調査のための出張旅費、ユニコード連動のビューアーを含むパソコン機器としてアップル社製のパソコン、及びそれと連動した無線機能内蔵の高性能のプリンタ&スキャナ、文献資料の収集と複写費、及びデータのPDF化、さらに最終年度として成果報告書の作成に使用する予定。
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