2012 Fiscal Year Research-status Report
二〇世紀前半に現在の中国領内で刊行されたモンゴル語定期刊行物の研究
Project/Area Number |
24520407
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
呼和巴特爾 バートル 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (80338540)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交換 / 中国 / モンゴル / ロシア / アメリカ / ドイツ / イギリス |
Research Abstract |
9月にモンゴル国のウランバートルとロシア連邦ブリヤート共和国のウランウデ市で、11月と3月には中国の北京、内モンゴル自治区フフホト市の図書館や大学の研究所、資料館などで中国領内で出版された古いモンゴル語定期刊行物について調査した。それにより、ロシア科学アカデミーシベリア支部モンゴル、チベットと仏教研究所所蔵雑DotuGadu mongGul-un arad-un sedgUl(内蒙国民旬刊、1925年11月創刊、張家口)の数期分、中国国家図書館所蔵『大国師章嘉呼図克図駐京弁事処月刊』(1931年、第二期)と北京大学図書館所蔵iregegui-yin monggul(irege edui-yin monggul, iregegui monggul, 蒙古前途月刊、1930年代、南京)十数期分の資料を複写することができた。 これらの資料の収集は、報告者が長期にわたり調査を行なってきた二十世紀前半に中国領内で刊行されたモンゴル語定期刊行物の研究にとっていずれも重要な意義をもつ。中国領で刊行されながら現在はロシアのブリヤート共和国でしか所蔵が確認されていない上記の資料などはとくに資料的価値が高いものであり、そこでの所蔵自体がモンゴル地帯の近代史における政治的、文化的関連性を考察するうえで有益であると考える。 また、北京の中央民族大学図書館、内モンゴル師範大学モンゴル学学院の資料館、内モンゴル大学「モンゴル学研究センター」、同大学図書館「モンゴル学古籍文献展閲室」、同大学モンゴル学学院及び同学院「モンゴル語研究室」での資料調査及び研究者との交流は、当該研究の進展及び今後の展開において重要な意義をもつ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、20世紀前半に中国領内で刊行されたモンゴル語定期刊行物について、世界規模での調査を目指すものである。それは、当該資料が本国においては政治イデオロギーなどの理由により大量に処分された可能性があるのと、政治的関心、資料上の関心と研究の目的で海外に持ち出され、保存されているものが多いからである。 平成24年度はロシア、モンゴル国、中国の一部の都市や資料館での調査を計画していたが、これまで調査の成果もあり、まず、ロシアとモンゴル国における特定の都市や資料館での調査は基本的に目的を達成している。中国においては分布が広いのと資料の所蔵状況が分散的であるため、これまで調査できた都市や資料館においても調査の継続及び再調査の余地はあると考える。そういう意味では、研究の目的の達成度は高いと言えないが、その主な理由は、時間的都合により全体において滞在期間が短かったためである。また、こうした理由により北京とフフホト市以外の都市及び日本国内の特定の町に行けなかったことも研究目的を達成するうえで不足の部分であるが、今後はその補足を工夫したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、日本国内では、島根県立大学図書館所蔵、故・服部四朗博士のコレクションに含まれる MongGulsedgUl(蒙古新聞)と KingGan yerUngkei balGad-un cuGlaGulaGsan darumal(興安総署彙刊.. )など数種類の雑誌ほかを調査の対象とする。 海外での資料調査は、これまで調査が不十分だった北京の中央民族大学図書館、国家図書館、北京大学、中国第二档案館と内モンゴル自治区図書館での不特定の資料とアメリカのインディアナ大学図書館所蔵MongGul-un sonin bicig(モンゴル新聞、帝政ロシアの影響で 1909年にハルビンで刊行された新聞)の収録と収集を始め、同大学におけるアメリカの著名な東洋学者Owen Lattimore(1900-89)のもとでアメリカのモンゴル学を築けたハンギン・ゴンボジャブなどによるコレクションについての調査も行なう。また、アメリカではハーバード大学にもモンゴル語の古い定期刊行物にかかわる資料をあるため、ハーバード大学での調査も実現させたい。 それにともない、資料の整理、保存の作業についても力を入れて進めていきたい。具体的には、大学院生などに資料の入力と複写やPDF保存の作業をさせ、その指導を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
日本国内の資料調査及び資料の整理、保存に約30万円を見積もり、アメリカでの調査には約45万を当て、中国での調査に約20万を当てる予定である。
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Research Products
(2 results)