2015 Fiscal Year Annual Research Report
海外紀行文の総合的研究―視覚的想像力の諸相をめぐって
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24520410
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中川 成美 立命館大学, 文学部, 教授 (70198034)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トラベルライティング / 観光 / 移動 / 移民 / 戦争 / 難民 / 亡命 / 機構(システム) |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績としては2015年12月11日から15日に実施したフィリピンでのエミリオ・アギナルド、ホセ・リサールらのフィリピン革命関連の調査がある。マニラ市のホセ・リサール記念館、およびカビテ州のアギナルド記念館、また国立歴史資料館(マニラ市)での調査、および聞き取り調査を実施した。同年12月24日から16年1月1日まではパリにおける関連資料の調査を行った。具体的にはモンパルナス地域、および関係施設フィールドワークと、フランスシネマティーク資料室にて明治期日本人海外渡航映像資料の調査を行った。近代以降の日本人の海外渡航記録のなかで、多量の蓄積をもつパリ紀行の発掘を中心に、フランス側資料の探索を行った続けて1月2日から10日までブラジル・サンパウロ市で日本人移民史料調査、およびサンパウロ市でのフィールドワークを実施した。サンパウロ人文科学研究所、移民記念館などに所蔵する資料を中心に調査を行った。 同年3月22日、23日には国際シンポジウム「トラベルライティングという機構-他者への視線」を立命館大学創思館カンファレンスルームにて開催した。これらは本科研研究の総括として国際シンポジウムを開催して、広範な視点によるトラベルライティングの検討を試みたものである。基調講演に玉野井麻利子氏(UCLA)を迎え、呉佩珍氏(台湾政治大学)、劉建輝氏(国際日本文化研究センター)、西成彦氏(立命館大学)、および大学院生らの研究発表を行った。 本年度は以前から諸事情により持ち越しとなっていた資料調査を集中的に実施した。また国際シンポジウムではトラベルライティングの多岐的な側面が浮かび上がった。観光に特化されがちなトラベルライティングという領域が、移民、戦時下の兵士、また難民、亡命者など、移動を強いられた人々をも包括する機構(システム)として機能したことが指摘されたことは大きな成果であった。
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Research Products
(4 results)