2013 Fiscal Year Research-status Report
ベトナム語の表層アクセントパターンを探る-となえうたの分析から-
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24520421
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
斉木 麻利子 金沢大学, 国際機構, 教授 (00195968)
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Keywords | 国際情報交換(アメリカ合衆国) / 言語学 / ベトナム語 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ベトナム語圏の伝統音楽中、「となえうた(chant)」「わらべうた」の語彙(歌詞)と、メロディー及びリズムとの対応パターンを精査することにより、ベトナム語の新たな韻律的特徴を明らかにすることにある。特に、本研究は、ベトナム語表層における強勢(stress)の有無を見定めつつ、ベトナム語表層のアクセントパターンの一端を明らかにすることを目的としている。 また、本研究は、アメリカ合衆国ラトガース大学東洋言語学科准教授、Young-mee Yu Cho氏との共同研究の一環として実施しており、Cho氏は、研究協力者(海外共同研究者)として本研究に参加している。 平成25年度には、平成24年度に引き続き、研究代表者、研究協力者(海外共同研究者)ともに、年度を通じ、所属機関を拠点にし、ベトナム語の韻律的特徴及びベトナム語圏のとなえうたのメロディーとリズムの特徴を調査した。 さらに、研究代表者は、平成24年度にベトナム社会主義共和国ハノイ市にて収集した文献資料を整理分類し、分析作業を行った。これらの資料には、幼児のためのとなえうた・わらべうた集と音楽科の教科書数セット分が含まれ、作者不詳のとなえうたとわらべうたも採譜され、掲載されている。具体的には、この作業では、まず、平成24年度からの継続作業として、分析対象とする文献を選定した(Bai hat danh cho tre mam non 2シリーズ、Tuyen chon bai hat danh cho tre mam nonシリーズ他)。次に、選定した文献に掲載されているとなえうた、わらべうた中に生起するアウフタクト(Auftakt [ドイツ語]=Upbeat [英語] )について、定量的に分析した。 平成26年度前半には、資料の分析を継続して行い、本研究の最終結果を同年度中に発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度に掲げた目標は、(i) べトナム語の韻律的特徴及びベトナム語圏のとなえうたのメロディーとリズムの特徴を前年度に継続して行うこと、(ii) 資料分析のうえ、ベトナム語のとなえうたの形式決定に関与する、言語側ファクターと音楽側ファクターの両者を見定めながら、ベトナム語の表層のアクセントパターンを明らかにすること、(iii) 論文執筆及び研究公開を開始すること、にまとめられるが、(i)の目標には達成したものの、(ii)に関しては、研究の過程において、新たな観点からの資料分析を行う必要性が確認され、その結果、完全に目標達成に至ったわけではない。(iii)の目標については、一部達成したといえる。 また、平成25年度9月と1月には、研究協力者(海外共同研究者)であるCho氏との研究打ち合わせを予定していたが、同月より年度末にかけて、研究代表者とCho氏の両者に生じた急務により日程調整がつかず、これを行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度である平成26年度の作業内容は、次の通りである:①ベトナム語圏のとなえうた、わらべうたの分析を継続する。②ベトナム語の表層アクセントパターンの新たな特徴を明らかにする。③研究協力者(海外共同研究者)であるCho氏との共著論文を完成させる。④研究の公開を学会発表、大学や地域での講義・講演、共著論文、ホームページ等で行う。 また、平成26年度のタイムスケジュールは以下の通りである。 ・前半(4月-9月):研究代表者は、所属機関である金沢大学を拠点に,①-②に記した作業を行う。作業成果は, Eメール,電話,郵便を利用して,順次Cho氏に報告する。9月には、アメリカ合衆国ラトガース大学にて、Cho氏と研究打ち合わせを行う。 ・後半(10月-3月):研究代表者とCho氏は、それぞれの所属機関を拠点に,③-④に記した作業を行う。③の作業成果は, Eメール,電話,郵便を利用して,順次互いに報告し合う。3月には、研究の総括を行い、さらには,次年度以降に向けた共同研究の内容についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、予定していた、研究協力者(海外共同研究者)とのアメリカ合衆国ラトガース大学における研究打ち合わせを実施していない。同年度には、また、前年度にベトナム社会主義共和国ハノイ市において収集したベトナム語圏の伝統音楽関連の資料を整理し、精査作業を行ったが、その過程において、新たな観点からの分析の必要性が確認された結果、研究成果を十分に公開する段階に及んでいない。 次年度使用額(平成26年度使用額、B-A)である346,831円は、上記事項に関連する、研究協力者(海外共同研究者)との研究打ち合わせ、研究公開、さらなる研究資料の分析を含む、平成26年度の目標達成のために使用する予定である。
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