2014 Fiscal Year Research-status Report
ベトナム語の表層アクセントパターンを探る-となえうたの分析から-
Project/Area Number |
24520421
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
斉木 麻利子 金沢大学, 国際機構, 教授 (00195968)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 国際情報交換(アメリカ合衆国) / 言語学 / ベトナム語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ベトナム語圏にて観察される「となえうた(chant)」及び「わらべうた」を対象としている。また、その歌詞が含有する言語情報(韻律上の情報)を求め、それがメロディー及びリズムにどのように写像されているかを明らかにすることにより、ベトナム語の表層における強勢(stress)の有無を見定めようとするものである。 平成26年度には、前年度に引き続き、ベトナム語の韻律的特徴及びベトナム語圏の「となえうた」「わらべうた」のメロディーとリズムの特徴を調査した。特に、平成25年度には前年度にベトナム社会主義共和国ハノイ市にて収集した文献資料の選定した後、「となえうた」「わらべうた」の、うたの冒頭という環境において、アウフタクト(=Auftakt [ドイツ語]、英語ではUpbeat )が生起するか否かについて、定量的に調査したものだが、平成27年度の継続調査より、「となえうたに‘アウフタクトのリズム’が観察されるか否かは,歌詞を構成する語彙の表層における強勢(stress)の存在と,その分布に依存する」という本研究の前提に立ち、ベトナム語表層における強勢の存在が明らかになった。 Nguyen, A-T. T (‘Acoustic correlates of rhythmic structure of Vietnamese narrative speech,’ in Mon-Khmer Studies, 43.2:1-7, 2014) は、ベトナム語における物語調の語り口(narrative speech)の分析により、弱強格(iambic)が用いられる傾向を指摘している。本研究を発展させ「となえうた」「わらべうた」冒頭のアウフタクト部分の環境分析を行い、その結果を上記Nguyenの研究結果と照合することで、音楽と言語間のスペクトラムの様相の一端を解明できるものと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度には、当年度の課題であったベトナム語圏の「となえうた」「わらべうた」の資料の精査作業を完了したが、予定していた研究協力者(海外共同研究者)との研究打ち合わせを行うに至らなかった。そのため基づき研究成果を十分に公開する段階に及んでいない。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度である平成27年度は、研究協力者(海外共同研究者)との研究公開を目標とする。そのため、9月には、アメリカ合衆国にて、研究打ち合わせを行う。それ以外の期間には、研究代表者と研究協力者は、それぞれの所属機関をを拠点に, Eメール,電話,郵便等を利用して,順次報告し合う。
|
Causes of Carryover |
平成26年度には、当年度の課題であったベトナム語圏のとなえうたの資料の精査作業を完了したが、研究協力者(海外共同研究者)との研究打ち合わせ及びそれに基づく共著論文完成と研究公開を実施することができなかった。これにより未使用分が生じたものである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力者との研究打ち合わせ及び研究公開を次年度(平成27年度)に行うこととし、未使用分はその経費に充てることとする。
|