2012 Fiscal Year Research-status Report
接辞・態辞による、2語幹語彙素の語幹の選択に関する理論的・実証的研究
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24520432
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
古賀 弘毅 佐賀大学, 全学教育機構, 准教授 (80330215)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 複数語幹語彙素 / 語幹の選択 / 佐賀西部方言 / 動詞の過去形 / 動詞の使役形 / 「活用」不要論 / 過去辞 / 使役辞 |
Research Abstract |
2012年度(初年度)における本研究の目標は、ふたつあった。ひとつは、動詞の語彙素に語幹がふたつある場合、九州西北部の方言において、過去辞がどちらの語幹を選択するかを説明する科学的な文法を構築し、構文解析器 TRALE 上にその文法を実装し、その分析を議論することであった。もうひとつは、佐賀西部方言の266個の動詞の過去形を含む文を、それぞれ、母語話者に発話してもらい、その各々を録音し、ホームページに掲載することであった。 上記の実証研究の方の目的は、達成できなかった。一方、上記の理論研究の目標は、達成し、さらに、2013年度(次年度)の目標「構文解析上に実装した分析を、国際学会において、口頭発表し、国際学術誌に投稿すること」をも達成できた。国際学会の口頭発表は、Koga (2012a)である。現在、同論文は国際学術誌で審査を受けている。 提案分析の核心となる佐賀西部方言の一部の動詞における二語幹仮定(例えば、「食ぶっ;食べた」に /tab/ と /tabe/ のふたつが語幹であるという仮定)は、Koga (2012a)の発表でも物議を醸し、議論があった。そこで、本研究代表は、同仮定の決定的な証拠を探し、提供する研究がさらに必要であると考え、形態音韻論の研究 Koga (2012b) を国際学会(東京開催)でポスター発表した。この研究で、佐賀西部方言で、動詞の非過去形の終末の/ru/のうち、対応する標準語の動詞が母音/e/終末動詞の時のみ、長音ではなく、促音でなければならないことを説明するには、2語幹仮定が有効であると主張した。この形態音韻論の研究の概要を国際学会(口頭発表)に投稿しており、現在、審査を受けているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論研究の目標については、当初の計画以上に進展しており、さらに、次年度の目標をも達成している。実証研究については、遅れているが、次年度に達成可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の理論的研究においていは、過去辞の論文 Koga 2012a について、マンツーマン議論を通して、さらに、質を高め、国際学術誌に掲載されるようにする。 佐賀西部方言の266個の動詞について、動詞とそれを含む文のセットを母語話者に発話してもらい、それをデジタル録音し、ホームページ上に載せる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度分で残った研究費は、26,810 円であり、これは、次年度に、形態論、音韻論の図書の購入に使用したい。 次年度分として請求している助成金は、当初の予定通り、消耗品(図書、音声録音・解析用のソフト等)、国内旅費(発表、マンツーマン議論)、外国旅費(学会発表、資料収集、構文解析機での実装関連)、人件費・謝金(方言情報提供、論文校閲、ホームページ作成補助謝金)、その他(ホームページ作成関連機器等)に使用することを計画している。
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Research Products
(5 results)