2013 Fiscal Year Research-status Report
接辞・態辞による、2語幹語彙素の語幹の選択に関する理論的・実証的研究
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24520432
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
古賀 弘毅 佐賀大学, 全学教育機構, 准教授 (80330215)
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Keywords | 複数語幹語彙素 / 語幹の選択 / 佐賀西部方言 / 過去形・過去辞 / 使役形・使役辞 / 「活用」不要論 / 否定形・否定辞 |
Research Abstract |
2013年度(第2年目)の理論研究上の目的は、佐賀西部方言の動詞の過去形を説明する科学的な分析ーー語彙素に語幹が複数あると仮定した場合、佐賀西部方言では、過去辞(ta)が、どちらの語幹を選択するかを明らかにする分析ーーの国際学会での発表と学術誌への投稿であった。国際学会での口頭発表は前年度に既に行った(Koga 2012a)。同論文を本年度、学術誌 Journal of Linguistics (英国言語学会誌)に投稿した。目的は達成された。 なお、上記の学会誌投稿の結果として受け入れられなかった。(論文を改善し、国際的にも価値あるものにするのに有益なコメントをもらえた。1)理論形態論の Anderson 1992 の語幹集合(stem sets)の分析、2)本研究者と同様な提案(Krieger & Nerbonne 1992)(語の統語論)を棄却した Koenig 1999、3)最適性理論を HPSG に混合する Orgun 1996 という3つの文献は本研究と密接に関わり、参照の必要があることが分かった。)複数語幹の仮定を動機付ける前年度の形態音韻論のポスター発表 Koga 2012b を改善し、国際学会で口頭発表した。 佐賀西部方言の動詞の過去形の実証研究は達成していないが、これは、標準語との違いがあまりないため、ほかの喫緊の課題を先に行っているからである。 複数語幹の仮定を使って、佐賀西部方言の否定形ーー佐賀西部方言では、否定辞(N, aN, raN)が、どちらの語幹を選択するか、3つのうちどの接辞が使われるかを明らかにする分析ーーを前年度、学会で口頭発表したが、本年度、それを論文(紀要論文)にした。また、否定形の実証データを佐賀大学地域学研究のホームページに載せている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論研究は進んでいる。実証データは、計画になかったより価値の高いと後に分かった実証データを先に収集したから。
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Strategy for Future Research Activity |
欧米の理論形態論、語の統語論の棄却、HPSGと最適性理論等の文献を復習することで、論文の国際的な価値を高めることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
佐賀西部方言の否定形の分析の論文を国際学会に投稿したが、受け入れられなかったため、旅費が生じず、20万円ほど使わなかった。 佐賀西部方言の否定形の分析の論文を国際学会に投稿して、口頭発表をしたい。
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