2012 Fiscal Year Research-status Report
状態性述語の総合的研究:日本語形容詞類と繋辞の形態・統語・意味
Project/Area Number |
24520435
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
漆原 朗子 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (00264987)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 状態性述語 / 形態論 / 統語論 / 意味論 / 形容詞 / 形容動詞 / オノマトペ / 繋辞 |
Research Abstract |
相・法の生起に関する統語的分析について、研究代表者漆原が「証拠性の形態的実現―朝鮮語と日本語東北方言の過去表現の類似性について―」山﨑 和夫・松村 瑞子(編)『言語と文化の対話』、福岡:花書院、pp. 1-11.を出版した。 12月7日(金)ハワイ大学言語学科において"A Morphosyntactic reflex of root and epistemic modals: Evidence from a Japanese negative future element"を発表すると共に、Dr Kamil Deen, Dr. William O'Grady等と議論を行い、新たな知見を得た。また、第13回福岡大学言語学コロキュアムにおいて“A Morphosyntactic reflex of root and epistemic modals: A Preliminary analysis”を発表した(2013年2月21日(木)於福岡大学)。Morphology and Lexicon Forum (MLF) 2012においてワークショップ「モダリティと形態論のかかわり」コーディネーターを務めた(2012年9月23日(日)於東北大学)。連携研究者岸本も参加した。。 日本英語学会(2012年11月10日(土)・11日(日)於慶應義塾大学)および日本言語学会(2012年11月24日(土)・25日(日)於九州大学)に漆原・岸本が参加した。 11月23日(金)には福岡大学セミナーハウスにおいて漆原・岸本・多田がそれぞれの研究、および繋辞(コピュラ)の形態の同定や状態性述語の恒常的属性記述と一時的状態記述等について議論した。その際に、平成25年度日本英語学会第31回大会(於福岡大学)のワークショップの構想を練り、「状態性述語の形態・統語・意味をめぐって」と題する企画を応募した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、申請書の「研究計画・方法」に挙げた5点の研究項目のうち、「II.繋辞(コピュラ)の形態の同定と統語的・意味的分析」、「III.相・法・否定の生起に関する統語的分析と状態性との相関についての意味的分析」および「IV.状態性述語の恒常的属性記述と一時的状態記述の形態統語論的・意味的分析」を重点的に行った。 特に「III」のうち、相・法の生起に関する統語的分析については、研究代表者である漆原がこれまでの予備的研究を論文集に発表すると共に、ハワイ大学言語学科および福岡大学で研究発表を行い、聴衆からの有用なコメントを得た。さらに、同大学言語学科教授Dr. Kamil Deen, Dr. William O'Gradyなどと議論を行い、新たな知見を得た。 また、Morphology and Lexicon Forum (MLF) 2012のワークショップ「モダリティと形態論のかかわり」(2012年9月23日(日)於東北大学)のコーディネイターとして、ワークショップの企画・発表者の募集・選抜を行う過程で、当研究課題の取り組みにおいてすでに明らかになっている部分と未解決の部分の峻別、さらには申請時には看過されていた新たな視点・問題の同定が可能となった。 最後に、連携研究者である岸本・多田との共同研究から、「II」の繋辞(コピュラ)の形態の同定、「IV」に関して状態性述語の恒常的属性記述と一時的状態記述の相違についての理解が深まった。そして、その際に、平成25年度開催の日本英語学会第31回大会(於福岡大学)のワークショップへの応募の構想を練り、「状態性述語の形態・統語・意味をめぐって」(企画者:漆原 発表者:漆原・岸本・多田)と題する企画を応募した。 以上の点から、「研究の目的」の達成度については、おおむね順調に進展していると評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、申請書の「研究計画・方法」で挙げた5点の研究項目のうち、「II.繋辞(コピュラ)の形態の同定と統語的・意味的分析」、「III.相・法・と否定の生起に関する統語的分析と状態性との相関についての意味的分析」および「IV.状態性述語の恒常的属性記述と一時的状態記述の形態統語論的・意味的分析」を平成24年度に引き続いて行う。 特に、平成24年度の連携研究者との研究に基づき、平成25年度開催の日本英語学会第31回大会(平成25年11月9日(土)・10日(日)於福岡大学)でのワークショップに「状態性述語の形態・統語・意味をめぐって」」(企画者:漆原 発表者:漆原・岸本・多田)と題する企画を 応募したところ、受理された。今後打ち合わせ等を重ねながら、内容を掘り下げ、当日のワークショップにおいて広く研究を発表すると共に、聴衆からの質疑・コメントを通して分析を精緻化し、知見を深めていきたい。 また、新たに「I.形容詞類の諸方言・古語・朝鮮語との比較による通言語的分析」に取り組む。その際には、九州方言の実地調査および国語学文献の精査により、データを収集、整理して一般化を図る。 なお、「III.相・法・と否定の生起に関する統語的分析と状態性との相関についての意味的分析」については、特に相・法の部分は平成24年度にかなり結実したので、否定の統語的分析および状態性との相関の部分を中心に研究を推進する。特に、生成文法理論のthe minimalist program(極小理論)の枠組みにおいてこれらがどのようにとらえられるかを重点的に考察する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
外国旅費については、研究代表者である漆原が「III.相・法・と否定の生起に関する統語的分析と状態性との相関についての意味的分析」に関連する論文を第19回国際言語学者会議(Le Congres International des Linguistes 19)(平成25年7月21日(日)-27日(土)於ジュネーヴ大学)にて発表するために執行する。 国内旅費については、漆原および連携研究者である岸本・多田が日本英語学会第31回大会(平成25年11月9日(土)・10日(日)於福岡大学)ワークショップにおいて「状態性述語の形態・統語・意味をめぐって」」(企画者:漆原 発表者:漆原・岸本・多田)を発表するために執行する。また、そのための打ち合わせ等にかかる国内旅費執行も発生する。 その他、漆原・岸本・多田の日本言語学会・日本語文法学会等への参加、人間文化研究機構(国立国語研究所)での資料収集や研究打ち合わせのためにも執行する。 また、研究遂行に必要な文献収集のために物品費を執行する。 「I」に関して、九州方言の形容詞類の実地調査や国語学文献研究を通してデータを収集し、収集したデータの整理等を依頼するため、大学院生等への謝金を執行する。
|
Research Products
(3 results)