2014 Fiscal Year Research-status Report
状態性述語の総合的研究:日本語形容詞類と繋辞の形態・統語・意味
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24520435
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
漆原 朗子 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (00264987)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 状態性述語 / 形態論 / 統語論 / 意味論 / 拡大投射 / 機能範疇 / 語彙範疇 / 繋辞 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に引き続き,研究代表者である漆原と連携研究者である岸本、多田で状態性述語に関する研究打ち合わせ等を通して議論を深めた。その成果を、9月8日(月)13:00-16:00に9月6日(土)- 7日(日)開催のMorphology and Lexicon Forumに引き続き、「状態性述語の形態・統語・意味をめぐる諸問題」と題したワークショップで発表した(於大阪大学豊中キャンパス)。 まず,多田論文「機能範疇の語彙範疇素性について(第2版)」では、Grimshaw(1990)の拡大投射理論を批判的に検証、日本語の状態性述語とのかかわりを論じた。次に岸本論文「日本語から見たコピュラ文の構造」は繋辞の統語構造に関する先行研究をふまえながら、日本語の繋辞の同定とそれに基づく統語構造を提案した。最後に、漆原論文「形容詞と推量表現」では、形容詞が助動詞「まい」と共起する際の形態に基づき、博士論文(Urushibara(1993))以来の主張である,無標文(unmarked sentence:直説法・現在)以外は文はその語彙的主要部に動詞要素が必要であることから、日本語においても繋辞が義務的であるという帰結を導き、史的変化についても観察を行った。 その他、岸本、多田は国内外学会や国立国語研究所のプロジェクトにも参加、発表した。いずれの発表でも質疑応答等から今後の研究への大きな示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Morphology and Lexicon Forumという、形態論研究者が多く集まる学会の後にワークショップを開催したことから、統語論のみならず形態論の専門家からも多くの知見を得ることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はこれまでの研究会、ワークショップ等での議論をふまえ、以下の各項目の調査研究を進める。なお,平成25年度に九州(福岡大学)、平成26年度に関西(大阪大学)にてそれぞれワークショップを行ったので、平成27年度は関東において研究会あるいはワークショップを企画する予定である。 漆原)朝鮮語・上代~中世日本語の形容詞類の先行研究の精査 岸本)否定と繋辞に関する統語的分析 多田)構造的属性記述(individual-level description)と一時的状態記述(stage-level description)の分析
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Research Products
(4 results)