2013 Fiscal Year Research-status Report
意味フレームとコーパスに基づく文意理解のための言語資源の構築
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24520437
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小原 京子 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00286650)
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Keywords | 言語資源(米国、スウェーデン、ブラジル) / フレーム意味論(米国、スウェーデン、ブラジル) / 構文文法(米国、フィンランド、スウェーデン) / コーパス言語学 / 語彙意味論 / 認知言語学 / 日本語 |
Research Abstract |
本研究の目的は、研究代表者が構築中の日本語フレームネット(JFN)を、語彙の意味情報に加え、構文の意味情報をも含む語彙・構文複合言語資源へと発展させることである。具体的には、文全体の意味に、語彙素の意味の他にどのような文要素の意味が関与しているかを明らかにし、それらを記述して言語資源とする。記述の枠組みとしてフレーム意味論と構文文法を用い、語彙素以外の文要素の意味も語彙素の意味と統一的に記述する。コーパス上の文の意味分析を行いその結果を蓄積することで、将来的に自然言語処理技術や日本語学習者にとって有益な言語資源とすることを目指す。 言語分析に関しては、1. 日本語構文の洗い出しを引き続き行うとともに、2. 構文の意味情報とフレーム情報の関係について考察を深めることができた。また、3.英語フレームネット・プロジェクト・チームのメンバーとの相互訪問ならびに意見交換、4.スウェーデン、ブラジル、韓国のフレームネットならびにConstructicon(構文データベース)構築プロジェクトのメンバーとの打ち合わせと意見交換、5. IFNW(国際フレームネットワークショップ)、ICLC(国際認知言語学会)、言語処理学会年次大会などでの成果発表、6.成果についての論文執筆を行った。 システムに関しては、英語フレームネットプロジェクトで使用しているコーパスアノテーション(タグ付け)ツールを移植し、日本語化に成功した。 本研究の当該年度の活動により、1.構文意味情報のアノテーションの重要性を示すことができた。さらに、2.フレーム意味論・構文文法の精緻化に日本語分析の観点から貢献することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の目標は以下の通りであった。 言語分析関連では、1)引き続き文全体の意味に寄与する語彙素以外の表現形式の洗い出し:主にBCCJコーパスの白書ジャンルのテキストを分析する。2)英語フレームネット・プロジェクトを訪問し、アノテーション結果に関する考察、ソフトウェアのバージョンアップなどについて意見交換を行う。3)国際会議、国内学会で成果発表を行う。4)成果に関する論文を執筆する、が目標であった。以上、すべて実施することができた。 システム関連では、1)英語フレームネット・プロジェクトから構文への意味情報付与用アノテーションツールを移植する。2)構文への意味情報付与用アノテーションツールの日本語対応化を行う、が目標であった。いずれも実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成26年度の目標はデータの雛形公開に向けた準備である。まず、言語分析関連では以下を行う。1)ツールを用いたアノテーション:実際にツールを用いてアノテーションを行い、必要に応じて修正する。2)英語フレームネット・プロジェクトを訪問し、アノテーションに関する考察、フレームネットの応用分野、マルチリンガルフレームネットへの拡張、ソフトウェアの改良などについて意見交換を行う。 システム関連では以下を行う。1)ツールを使ってアノテーションを行えるよう、日本語バージョンを完成させる、2)アノテーションデータ見直し:データの整合性についてチェックする。3)マニュアルを作成する。 さらに、意味フレームとコーパスに基づく文意理解のための言語資源の構築について得られた結果をとりまとめ、国際会議や国内学会で成果発表を行い、報告書を兼ねた、成果に関する論文を執筆する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究の成功のために必要不可欠な、アノテーションツールの開発とデータベースシステムの保守管理を依頼すべく研究助手を雇用したが、当初の予定よりも短期間でアノテーションツールの開発が進み、費用が当初の見積もりを下回ったため。 主に、アノテーションの入力、結果の整理、見直し作業のためのアノテータの人件費、アノテーションツールとデータベースシステムの保守管理のためのプログラマー要員の人件費として使用する。
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