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2015 Fiscal Year Research-status Report

東北方言における音変化とその方向性に関する研究

Research Project

Project/Area Number 24520438
Research InstitutionTokyo Kasei Gakuin University

Principal Investigator

橋本 文子  東京家政学院大学, 現代生活学部, 准教授 (20237928)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2017-03-31
Keywords音韻論 / 音声学 / 東北方言 / 音変化 / 方言学 / 言語学
Outline of Annual Research Achievements

平成27年度は前年までの調査に引き続き、東北方言に見られる方言音声の特徴を探るべく、方言音声の録音調査と調査地域の方言に関する文献の調査を行った。
これまでは主に北東北方言地域を中心に調査を行ってきたが、今年度は南東北方言地域である宮城県仙台市と、東北地方南部に位置するが青森・秋田の方言に通ずるとされる山形県の日本海側に位置する三川町と鶴岡市で調査を行った。
まず、仙台市では市の西にある市民センターのご協力のもと、高年層2人、中年層2人、少年層として小学生2人の方々の方言音声の録音をさせていただいた。仙台は無アクセント地域であると言われるが、高年層2人の内1人の調査協力者の方は無アクセントに特徴的と思われるアクセントを持っておられた。実際にそのようなアクセントを耳にする機会が得られて有意義であった。また、もう1人の高年層の調査協力者の方は柔らかで耳に優しい南東北方言を話される方であった。
次に調査を行った山形県の三川町は、これまでも国立国語研究所を始めとする方言調査が何度か行われてきた地域であるが、方言調査に理解があり、宿泊先でも三川町の方言に関する資料や書籍等が展示されていた。三川町では、本研究の方言音声調査の対象としている年齢層の方々が揃っている御家族とその近所に住む御家族にご協力をいただき、合計で高年層3人、中年層3人、少年層2人の方々の方言音声の録音をさせていただいた。また鶴岡市では、高年層2人、中年層2人、少年層2人の方々の方言音声を録音させていただいた。山形県の三川町や鶴岡市は、豊かな庄内平野を背景に、かつての日本海側の北前船の交易の影響が今も感じられる地域であった。
本年度はまた、盛岡市で初めて行われた「盛岡弁の日」や八戸市で昨年に続いて行われた「南部弁の日」のイベントにも出席し、各地で方言を大切に守り次代に残そうという機運の高まりを感じた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究の進捗状況については、当初の計画と比べると、やや遅れていると言わざるをえない。27年度前期は大学の業務、学会や研究会への出席やその他で多忙となり、なかなか調査の日程を組むことが難しかったため、後期に調査に行くこととなった。
今年度は宮城県仙台市と山形県の三川町と鶴岡市の三か所で調査を行い有意義であったが、併せて調査したいと考えていた山形市には結局足を運ぶことができなかった。調査を遂行するに当たっては、十分な時間と多くの方々のご協力が何よりも必要であると感じている。
また、調査に伺うと調査にご協力くださる方々の方言に対する関心や気持ちが感じられることが多く、どの地域の方々も地元に対する強い郷土愛を持っておられることを実感する。また、方言調査に対しても快く協力してくださり、方言調査をさせていただきながら、地元の方々の温かい気持ちに触れることも多くある。
今年度はこれまで蓄積したデータの分析を計画的に進めながら、本研究で得られたことをまとめていきたいと考えている。

Strategy for Future Research Activity

本研究は次年度が最終年度となる。これまで東北地方の五つの県で方言音声の録音調査を行ってきたが、次年度は残る山形市と福島県で調査を行いたいと考えている。そして、東北の各県で集めたデータを分析しながら、それぞれどのような音声的特徴が見られるのか、どのような共通の特徴が見られ、またどのようなその地域固有の特徴が見られるのかを検討し、東北地方全体でどのような音声的変化が起こっているのかについて考察していきたい。
本年度も、文化庁主催の東日本大震災から東北の方言を考えるプロジェクトの発表会や各地域で行われている方言に関するイベントに何度か出席させていただいた。それらの催しに出席し、方言は地域の人々を結ぶ大切な絆の一つであり、最近は方言の持つ役割が再認識され、方言を守り次代に引き継ごうとする機運が高まっていることを肌で感じることができた。
また、本研究を通じて、方言研究や日本語研究の分野の研究者の方々と知り合いになり、研究発表会等で最新の方言研究について知ることができたことは大きな収穫であり、大変有難いことであった。今後も様々な研究者と交流しアドバイスをいただきながら、東北方言の研究を進めていきたいと考えている。


Causes of Carryover

次年度使用額として少なからぬ額が生じている。これは、現在までの進捗状況の項目でも述べたように、当初の計画では東北地方の全ての県で調査を行う計画を立てていたが、本研究も四年目となったがまだ全てを回り切れておらず、方言音声の調査をまだ行えずに残っている地域があるためである。
また、これまでの調査でデータはある程度蓄積されてはいるが、分析までにはまだなかなか手が回っておらず、本格的な分析は次年度にまとめて行うことになるため、データ分析やデータのまとめにかかるであろう謝金やその他の費用がまだ支出されていないためである。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度は本研究の最終年度となり、これまでの調査の総まとめを行う年度となる。そこで、まだ調査できずに残っている地域を早めに回り調査を行いたい。それとともにこれまで蓄積したデータの分析を、協力いただける方の力も借りながら、できるだけ速やかに行っていきたい。そして、データの分析から現在の東北地方の各地で見られる音声的特徴を捉え、各地域にはどのような共通の音声的特徴があり、またどのような違いが見られるのか、またそれらからどのような音変化が東北方言全体に進んでいると考えられるのか、その変化の方向性について考えていきたい。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 2015

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 東北方言の無声化が語るもの2016

    • Author(s)
      橋本文子
    • Journal Title

      現代音韻論の動向:日本音韻論学会の歩みと展望

      Volume: なし Pages: 未定

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 東北方言の子音の現象と清濁の音韻論的対立の関連性について2015

    • Author(s)
      橋本文子
    • Organizer
      東京音韻論研究会
    • Place of Presentation
      東京大学
    • Year and Date
      2015-05-30

URL: 

Published: 2017-01-06  

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