2014 Fiscal Year Annual Research Report
アスペクト区分は唯一に決まるのか? ―実時間処理からの検討―
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24520440
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
石川 潔 法政大学, 文学部, 教授 (10287831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大羽 良 中央大学, 経済学部, 准教授 (10308158)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 心理言語学 / 意味論 / アスペクト / 眼球運動測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、動詞のアスペクト特性に関する「再解釈説」と「優先解釈説」との優劣の比較である。再解釈説によれば、動詞は常に1つのアスペクトのもとでのみ解釈され、副詞などとの間に不整合が生じた場合には元のアスペクト特性から別のアスペクト特性へと動詞を解釈し直すことになる。それに対して優先解釈説によれば、複数のアスペクト特性での解釈が、異なった優先度のもとで並列に保持され、副詞などとの間の不整合は優先度の再設定として捉えられる。 本研究では、self-paced reading を2年目に実施した。当該の動詞領域での読み時間は、どちらの仮説の予測にも反していたが、1つ後ろの領域での読み時間は、再解釈説の予測に反し、優先解釈説の予測通りであった。注目している効果が1つ後ろの領域に(のみ)あらわれるという結果(効果の遅れ)は、読解研究では頻出するパターンなので、この結果は、優先解釈説を支持するものと解釈できる。 上記の実験では、瞬間副詞条件と期間副詞条件との間の動詞の読み時間が有意差という「動詞領域での予期されぬ副詞効果」が観察された。副詞についていた修飾語句が「副詞効果」および「効果の遅れ」の原因であるという可能性を検討するため、研究分担者が self-paced reading の追加実験を最終年度に行った。しかし、この可能性に対して否定的な結果となった。 他方で研究代表者は、当初の予定通り最終年度に眼球運動測定実験を開始したが、2つの理由から実験開始が遅れた。まず、上記の「副詞効果」や「効果の遅れ」を避けるために、修飾語句のみにとどまらないレベルで刺激文を改訂したことである。次に、眼球運動測定装置の最終的な設定に予想以上に時間がかかったことである。研究代表者の本務校の学事暦の関係もあり、まだ被験者数が十分でない。よって、この実験は現在も継続中である。
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Research Products
(2 results)