2014 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ語心態詞と日本語終助詞の発話における心的態度と韻律的特徴について
Project/Area Number |
24520441
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
生駒 美喜 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90350404)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ドイツ語言語学 / 心態詞 / 終助詞 / 韻律的特徴 / 学習者音声 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ドイツ語心態詞および日本語終助詞の発話における心的態度と韻律的特徴との関係を明らかにすることを目的としている。平成26年度は1.「反論」の意図を持つ心態詞の発話には、どのような韻律的特徴がみられるか。2. 日本語を母語とするドイツ語学習者のドイツ語心態詞の発話にどのような特徴がみられるか。ドイツ語母語話者との共通点・相違点はあるか。以上の2点を明らかにするため分析を行った。 1に関しては、平成25年度末に実施した心態詞を含む「反論」の発話の知覚実験の結果もふまえ、より詳細な音響分析を行った。その結果、「反論」に用いられる異なる心態詞schonとdoch で、異なる音響的特徴が観察され、doch とschon では「反論」の意味が異なることも示唆された。この結果は、2014年9月末の日本音声学会全国大会にて発表した。 2については、2年前の知覚・発話実験に参加し、その直後にドイツ留学をしたドイツ語学習者ShunとKenに協力してもらい、前回と比較するため、前回と同様の手順で知覚・発話実験を実施した。その結果、Kenは留学後の今回の実験の発話がより母語話者に類似していたが、Shunは発話には留学前後で違いが見られず、母語話者の発話の知覚実験にのみ進展が見られた。この結果は、2014年7月末に開催されたワークショップ”Perception-Production Studies and Corpus-Based Approaches in Second Language Phonetics and Phonology: A joint IPFC-AESOP international workshop”にてポスター発表を行った。平成26年度末には母語話者10名の協力の元、学習者の発話の聴取実験を実施し評価を行った。この結果は現在分析中であり、平成27年度に発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ドイツ語心態詞の分析は順調に進んでいるが、日本語終助詞の分析は、実験を実施するまで至っていない。最終年度である平成27年度には、日本語を母語とするドイツ語学習者を対象に、日本語終助詞を含む「反論」の発話について、ドイツ語、日本語と同じ実験手法を用いて発話実験、知覚実験を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成27年度は、今後の研究の進展も見据えて、ドイツ語学習者の発話により重点を置いて分析を行っていく。その際、新たに研究協力者としてハレ=ヴィッテンベルク大学のProf. Dr. Ursula Hirschfeld教授をむかえ、Hirschfeld教授のこれまでの研究成果を参考にしつつ、協力しあって実験および分析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度はドイツ語心態詞と同時に日本語終助詞の発話実験、知覚実験およびその分析を行う予定であったが、予定よりドイツ語心態詞の発話・知覚実験に時間がかかり、当該年度に実施することが困難となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
日本語の終助詞の発話について、日本語を母語とするドイツ語学習者を対象に、ドイツ語心態詞と同様の手順での発話および知覚実験を実施する。さらに日本語の対話コーパスの分析を行う。一連の日本語終助詞の発話の分析に次年度使用額を用いる予定である。
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Research Products
(3 results)