2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24520445
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
古木 誠彦 九州女子大学, 人間科学部, 准教授 (90341297)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金文 / 昭王期 / 青銅器 / 西周時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては、西周時代昭王期と比定した青銅器について、その字形の特徴を究明し、「尊」「寶」「彝」などの字形の検証から昭王期の字形の特徴を見出した。また、銘文中における儀礼の時代性についても確認ができたことは意義深い。 本研究は研究期間においては以下の点、①昭王期金文の調査、②昭王期における異体字、③昭王期文字と前代までの文字比較、を柱に研究を進めた。 ①においては、『夏商周断代工程報告集』『商周青銅器銘文曁圖像集成』『殷周金文集成』『商周金文編』『商周青銅器銘文選』『西周青銅器銘文分代史徴』にある昭王期と比定された青銅器を比較・再調査し、昭王期の青銅器をある程度断定した。この調査において、16器の断代不同の青銅器を確認した。これらについては、まず出土状況に関する書籍の精査を行い、断代を比定した。その上で、銘文内容の再確認、青銅器の形式の再検討を行った。②については、幾つかの異体字を確認するに留まった。この部分については、今後の研究課題である。③については、①の結果により検討できる基礎資料ができた。比較分析に関しては、もう少し、昭王期前の文字についての調査・精査が必要である。異体字に関しては、想像以上の数が確認できた。 本研究によって、昭王期の銘文と文字をある程度特定できたことは、大変な意義がある。西周時代前期後段の昭王期は、西周時代の発展期の最終であり、かつ周国が以後、その特徴を色濃くする時期でもある。その萌芽期とも捉えられる時期の文字を確定し、その字形字義より社会状況を究明できることは、今後の『周禮』等の内容を研究する上で、その意義は大きいと考える。 また、昭王期の金文形によってその社会の様子や、特に西周中期へと継承される(周国の基盤の確立)社会体制を推察でき、中国西周時代の歴史をより明確にできる点で重要であると考える。
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