2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520447
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
水上 悦雄 独立行政法人情報通信研究機構, ユニバーサルコミュニケーション研究所・音声コミュニケーション研究室, 主任研究員 (30327316)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 対話戦略モデル / 基盤化過程 / 基盤化ネットワーク |
Research Abstract |
本研究では,上位のネットワークの遷移が,より下位のネットワークの完了をもって行われるような,階層構造を持つ再帰的なネットワークとして,談話全体を記述することで,対話をモデル化すること,また,Traum(1994)の基盤化ネットワークを拡張することで,これを実現することを最終的な目的としている.上位のネットワークは,Grosz and Sidner(1986)の談話セグメントをベースとし,Nakatani and Traum(1999)のIユニットや類似の単位化手法の単位に対応するが,状態遷移の記述を整合的に実現することを指向しており,実際の対話データに適用することで,定式化上の問題を抽出し,改善していくことを目的とする. 本年度は,a) ガイドと旅行者による,旅行案内電話対話を対象とし,99の電話対話データを整備した.また,b) 談話の性質を考慮したうえで,発話の順を追って,参与者間で共有されるべき,解釈可能な命題(その会話で何を達成しようとしているのか)の基盤化を構成する最小の貢献を設定し,それらの一つ以上の貢献から成る,より大きな談話のまとまりを,ボトムアップ的に構成し,談話全体を階層的に記述できるようなラベル設計を行い,Traumの基盤化アクトを採用したうえで,基盤化の程度を表す基盤化状態,一つ以上の貢献から成る貢献トピックを設計した.さらに,c) 上記対話データに対して,これらを付与し,それらの一部をネットワークとして抽出した. 13の対話を対象として分析したところ,この旅行電話対話は,最も単純なネットワークの形として,3階層の再帰ネットワークで表現できることが示唆されたが,並列して進む貢献(一方が基盤化する前に,他方の貢献が開始されるもの)は,現状,ネットワークで表現できず,更なる拡張が必要であることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,対象データの整備,談話単位タグの設計および基盤化タグの設計をし,一部,タグ付けを実施することが目標であったが,これらはほぼ達成することができた.既に25年度に実施予定だった,基盤化ネットワークの拡張設計まで行っているので,計画以上に進展しているともいえるが,その結果,課題も多く見つかったため,設計の見直しを余儀なくされており,総合的に見て,上記のように評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
実施結果に示した通り,一つの貢献が終了する前に,別の貢献が始まってしまう場合があり,有限状態ネットワークであるところの現状のモデルでは,表現できない現象があることがわかった.これを回避するためには,ネットワーク構造そのものを見直す必要があり,先行研究を調査したうえで,モデルを再構成する. また,予算と時間の関係上,ラベル付与は,ほぼ一人の作業者が行い,当該研究代表者がチェックする,という形をとったため,ラベルの一貫性が保証できておらず,ラベル再設計後,その点についても考慮して,二人以上の作業者によるラベルの一致度を測るなどを行う予定である. ただし,そうして得られたネットワークは,あくまで,ガイドの対話戦略の結果,産出された,実データの再現モデルであって,対話戦略そのものではない.これらから,対話戦略として再定式化する方法論を探る.この際,全てのモデル化された対話結果を接続する方法論を検討し,最終的にこの対話データにおけるガイドの対話戦略のモデル化を図る予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)