2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520455
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
前田 達朗 東京外国語大学, 国際日本研究センター, 准教授 (60590750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 朋子 東京外国語大学, 国際日本研究センター, 研究員 (60600442)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 標準語教育 / 方言矯正 / 社会言語学 / ライフヒストリー |
Research Abstract |
初年度の目的としたものは、①奄美教育会館所蔵の大正末期から現在までの教育関係資料のうち、とくに戦後米軍政期、復帰直後(1954年ころ)までの資料の整理と目録作成、デジタル化のための資料の撮影。②「方言矯正」を経験した人々への予備的調査の二つであった。このうち①については、教育会館関係者および地元関係者、外部からの研究者との協議をもとにすすめた。デジタル化のための資料の撮影は、資料点数100点、およそ30000カットの撮影と一時的な整理が終わった。また保存状態が悪く、その管理に教育会館でも窮していたこれら資料の、当面の汚損、散逸を防ぐために中性紙や文書保存箱などを用い、整理するとともに、資料番号を付し目録の作成作業に取りかかった。これらのことは将来的なアーカイブ化への準備と考え、地元関係者とともに作業のための会合を持つ計画である。資料の整理を通じ、「方言矯正」は太平洋戦中を中心にその前後で行われていたといわれているが、現状把握できている教育会館所蔵資料と、それを補完する周辺資料や聞き取りなどで、その実態がじゅうぶん明らかに出来ると考える。②については、主に大島南部の瀬戸内町周辺で、これまでのラ・ポールを基盤に調査を行った。デジタル化資料により、調査対象者への提示がより簡易になることで、人々の記憶への働きかけがより効果的であるという当初の目的は果たせた。またこれまでの調査とは違う目的の調査であることが地元関係者にも理解を得られつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料の整理、撮影のための周辺環境の整備などに想定以上の時間を要したが、作業は順調であった。またフィールドでの聞き取りは予備調査の段階であるが、今後その対象が広がる可能性が見えてきた。 昨年8-9月をピークに現地で台風に遭うなどの天候による作業の遅滞は若干見られたが、総合的には今後の作業で研究の目的は達成できると考えられるから。
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Strategy for Future Research Activity |
現地での調査はこれまでフィールドで構築してきたラ・ポールを出発点としたが、その中でいわゆる「中年層」の方言矯正の記憶というものが現れ出てきた。研究計画当初は、教育会館資料とシンクロする時期に学校現場に居た人々を調査対象とするとしていたが、これを拡大する。また引き続き資料の撮影と整理を関係者と継続的に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年同様、フィールド調査、資料撮影・整理・調査ともに奄美大島で行う。 現時点では、研究代表者、研究分担者共に、2週間前後滞在できる日程で2回ずつの出張を計画している。 スケジュールの調整などにより、資料撮影のために研究協力者の奄美大島行きも検討したい。
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Research Products
(4 results)