2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24520455
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
前田 達朗 東京外国語大学, 国際日本研究センター, 准教授 (60590750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 朋子 東京外国語大学, 留学生日本語センター, 研究員 (60600442)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 琉球諸語 / 危機言語 / 標準語教育 / 方言 / 社会言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
現地調査については、昨年度末から行ってきた調査対象の年代を下方に修正してひろげ、40代までの調査協力者を得ることができた。研究計画開始当初の予想とは異なった言語をめぐる言説の世代縦断型の拡がりと、それに基づいた社会全体での言語意識の共有と個人における内面化の可能性の把握の端緒につくことができた。 「方言は学校教育現場で奪われた」という言説に奄美語衰退の原因を収斂させる言語意識・態度は40までの世代にも共通して見られた。その言説をもとにかつてのコミュニティ言語である奄美語への意識が形成され、惜しいとは思うが仕方がないという社会全体でのある種のexcuseが形成され、地域社会の弱体化もあいまって、たとえば沖縄で見られるようなrevitalizationへのモチベーションが形成されにくくなっているとも考えられる。言説の当否を検証することが本研究の目的ではないが、その言説を生み出し継承されていく構造そのものの追求を今後も続けていく必要がある。 また2014年度にも学会発表と論文の発表・出版を行った。特に沖縄も含めた琉球列島全域での社会言語学研究において、これまで成果の蓄積の少なかった奄美群島研究が一定の地位を得ることにも貢献できたと自負している。 これら研究成果は、できるだけ速やかに報告書として紙媒体ではなくweb上での発信を目指しており、その際には英語による発信もあわせ計画している。世界的に琉球語域への注目が高まり、日本だけでなく各国の研究者がさまざまなディシプリンでアプローチを試みているが、そうした研究動向に応えられるような研究と発信を今後も続けていきたい。
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Research Products
(4 results)