2013 Fiscal Year Research-status Report
バリ語とインドネシア語のコード混在コーパス構築と社会言語学的動態の記述
Project/Area Number |
24520464
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 真由子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (20389563)
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Keywords | 社会言語学 / 語用論 / インドネシア |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、バリ言語社会の「多数派」であるバリ語平地方言話者によるバリ語とインドネシア語のコード混在についてすでに私が行った記述・分析を根幹として「少数派」、つまり近年増加しているインドネシア語をより多用する若年層のバリ語平地方言話者とインドネシア語と平地方言の干渉を受けつつあるマイナー方言のバリ語山地方言話者にも対象に入れ、バリ社会の会話コーパス構築を主な目的とした。この一環で、今年度は特に山地方言地域の宗教儀礼の領域に注目し、そこに現れる言語使用を明らかにすることを目指した。 現地調査は2013年9月に約2週間実施し、主に、バリ語山地方言地域であるインドネシア共和国バリ州ブレレン県プダワ村でおこなった。まず、録音によって日常会話および宗教儀礼における口上や会話を収集した。次に、過去の調査で収集していたものも含め、宗教儀礼の際の祈祷を、現地のインフォーマントとともに書き起こし、文字化した。そのテキストに基づき、他の領域との比較、平地方言との比較の視点から分析した。さらに、プダワ村での調査開始時から行っているバリ語山地方言の語彙調査も平行して実施した。また、現地のウダヤナ大学と国立言語研究所デンパサール支所の研究者と、インドネシア語やバリ語を含む諸地方語および言語に関わる文化・社会・政策などについて議論し、意見交換を行った。 2014年2月に、インドネシア言語学会国際大会(於インドネシア共和国ランプン州)で、上記の山地方言地域における宗教儀礼の祈祷について行った分析結果を発表し、敬語体系をもたない山地方言でも神とのコミュニケーションにおいては平地方言に見られるような尊敬語や謙譲語といった敬語が認められることを明らかにした(13.研究発表を参照)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要な目的の1つは、バリ言語社会を包括するバリ語会話(発話)コーパス構築である。それに不可欠な部分をなすバリ語山地方言話者が行う会話(発話)の収集作業と書き起こし作業を中心に進めている。また、その過程で浮かび上がってきた話者タイプ間の違い、領域間の違いなどの問題についても考察を行っている。したがって、おおむね順調に進んでいると言ってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、バリ言語社会を包括するバリ語会話(発話)コーパス構築を中心に、調査研究を推進する。特に、インドネシア語優勢のバリ語会話をおこなう若年層のバリ語平地方言話者、インドネシア語と平地方言の影響を受けつつあるバリ語山地方言話者に焦点をあて、会話収集を続け、その書き起こしと会話に現れるバリ語とインドネシア語のコード混在を考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込みと執行額は異なった。 研究計画に変更はなく、前年度の研究費を含め、当初の予定通りの計画を進める。
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