2014 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル系の危機言語、保安語積石山方言にかんする調査研究
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24520469
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐藤 暢治 広島大学, 北京研究センター, 教授 (90263657)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | モンゴル系言語 / 保安語 / 危機言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究『モンゴル系の危機言語、保安語積石山方言にかんする調査研究』の目的は、主として甘粛省臨夏回族自治州積石山保安族東郷族撒拉族自治県大河家鎮に暮らす保安族(約2万人)によって話されているモンゴル系の危機言語、保安語積石山方言にかんして以下の三点を明らかにすることであった。一つ目は、モンゴル系言語のなかで調査研究が遅れている保安語積石山方言の全体像をフィールド調査を通じて社会的・文化的背景とともに記録し、その調査結果を公刊すること。二つ目は、得られた成果を現地社会へ還元し、保安族の人々との連携のもと、当該言語における次世代への継承に協力すること。三つ目は、モンゴル系諸言語の歴史研究、言語接触研究に貢献することである。 この目的を達成するために、2012年と2014年に現地調査をおこない、最終年度には上記の一つ目と二つ目の目的にかかわる『保安語漢語詞典(国際音標版)』を公刊した。この辞典は、見出し語、熟語などを合わせ2100語余りを収録した辞典であり、保安語の辞典として初の本格的な、かつもっとも利用価値が高いものと言えるものである。また、『保安語漢語詞典(国際音標版)』よりは、はるかに現地社会に役立つピンイン式のロー字で表記した『保安語漢語詞典』も完成させており、近々、中国において正式に出版する計画にある。 そのほかにも、保安族の民族文化を代表する保安腰刀について論じた『保安族の民族文化 保安腰刀』を作成した。ここには保安腰刀の全体像を可能な限り理解するために、保安腰刀の歴史、分類、個々の腰刀の名称、保安腰刀について語られたテキスト、保安腰刀が登場する民話が収録されている。 三つ目の目的に関わることについては、証拠性、包括形と除外形、チベット語アムド方言との言語接触に関わる調査をおこない、資料はまとめてある。
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