2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520471
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
秋谷 裕幸 愛媛大学, 法文学部, 教授 (10263964)
|
Keywords | 中国語 / 官話方言 / 中原官話 / 汾河方言群 / 音韻史 / 国際研究者交流 / 中国 |
Research Abstract |
(1)『韓城方言調査研究』(中国語で執筆)。海外共同研究者・Xing向東陝西師範大学教授との共著である本書は本研究課題の主要な成果のひとつとなる予定である。本年度、私自身が担当する部分(音韻、語彙部分)は初稿は完成した。三月下旬に十日間かけて、Xing向東教授と最終的なチェックも行った。同音字表は、これまでに発表されている汾河片方言の同音字表の中でも、最も詳細なものになっていると思う。収録語彙数は少なくとも4000語。Xing向東教授が担当する文法部分も2014年度前半には完成の予定である。文法部分についても、私が調査した例文が多く使われている。Xing向東教授の著書『合陽方言調査研究』と並び、汾河方言群の調査報告としては、もっとも詳しいものとなろう。研究期間内に正式出版できる可能性がある。 (2)もう一つの主要な成果として予定されている『中原官話汾河片音韻史研究』(中国語で執筆)については全書の初稿を完成させた。汾河方言群祖語を再構し、各方言への変化過程を跡づけたばかりでなく、中国語方言音韻史に比較方法(comparative method)を適用する場合の方法論的諸問題についても詳しく論じた。『韓城方言調査研究』同様、こちらも研究期間内に正式出版までもっていくことができる可能性がある。 (3)以上のように研究は当初の予定を上回るスピードで進んでいる。時間的に余裕ができたので、『中原官話汾河片音韻史研究』において再構した汾河方言群祖語の官話音韻史における位置づけをより一層明らかにすべく、江淮官話に属する桐城方言の調査を行い、汾河方言群と比較することにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の予想される研究成果は(1)『韓城方言調査研究』、(2)『中原官話汾河片音韻史研究』の二冊である。(1)については計画通り、平成25年度にほぼ初稿を完成させることができた。(2)については、当初の計画では平成27年度に初稿を完成させることになっていたが、平成25年度内に初稿を完成させることができた。計画していた方言の現地調査も、韓城方言については終了した。このように本研究課題は、明らかに当初の計画以上に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は『韓城方言調査研究』と『中原官話汾河片音韻史研究』の推敲、完成が主要な研究内容である。 『韓城方言調査研究』については三音節以上の連読変調の記述にやや不備があり、その点の推敲が最大のポイントになる。語彙はXing向東教授が選定した語彙以外にも多くの語彙を調査した。それらを意味分類して、適切な場所に配置する作業も行う必要がある。 『中原官話汾河片音韻史研究』については、初稿のチェックが主たる作業であるが、方法論的問題を論じた部分は大きな改訂を行う必要が生じる可能性がある。また、本書で取り上げた七地点の方言の生物学的手法を用いた系統分類も行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度、本研究課題の研究費により4度の海外出張を行い、またXing向東陝西師範大学教授を3月に10日間招へいした。その際の交通費(航空チケット)が当初の予想よりも安価だったため。 本平成26年度は『韓城方言調査研究』および『中原官話汾河片音韻史研究』のブラッシュアップが主たる研究内容となる。前者はXing向東教授との共著であるし、後者についても同教授との討論を通じた推敲作業が不可欠である。簡単な部分についてはメールのやりとりにより対応ができるが、専門的な問題になるとやはり直接的なディスカッションが必要となる。その際の海外出張、または同教授招へいの費用として使用する計画である。
|
Research Products
(1 results)