2013 Fiscal Year Research-status Report
話法のテクスト機能に関する日仏対照研究:内的独白を中心に
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24520476
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高垣 由美 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (60253126)
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Keywords | テクスト / 話法 / 対照研究 / フランス語 / 括弧 / 引用 |
Research Abstract |
平成25年度は,前年度に確定した基礎データに基づいて,日本語への応用を考えたうえで,対照研究のための内的発話理論の深化を目指した。 日本語とフランス語の言語固有の内的独白の特徴を同定するため,平成24度に抽出した言語形式に基づいて分類した内的独白の話法と,内的独白の現れる文脈に関するデータを集積し,関連する日仏対照の考察を推し進めた。 テクストの慣習に関する対照研究としては,主として文脈に関するデータを元に,3本の研究論文を発表した。テクスト理論構築の第1歩としては,関連する現象の中で特に,フランス語の応答辞を取り上げ,文脈との関係を明らかにして,例外的用法の生起条件を新資料で明らかにした。この成果は,平成26年7月にドイツで開催される第4回フランス語学世界大会で発表することがすでに決定し,論文も同学会のジャーナルに掲載が決定している。 新資料としては,当初の予定にはなかったが,電子コーパスを考慮に入れることにした。この方法論上の考察と日本におけるコーパス研究の現状を研究論文1本にまとめた。 平成26年度に予定していた,応用研究である教材作成は先取りして行い,その成果をインターネットで一般に無料配信して誰でも利用できるようにし,社会に還元した。またその成果を8月,12月,3月に国内の関連学会,研究会で発表し,研究論文1本にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していた教材開発研究を先取りして作成し,すでに成果を社会一般に還元した。この点では,当初の計画以上に進展している。 その一方,当初考えていた文学作品からのデータが,予想よりも集まらなかったため,新たに研究資料として,電子コーパスを付け加えることにした。そのための準備と方法に関する考察に時間がとられた。この点では,予定よりもやや遅れている。 来年度予定の作業を先取りした部分と,新たな資料の付け加えで遅れた部分とがあるが,全体としては,両方でプラスマイナスゼロとなり,研究最終年度となる平成26年度には予定通り進展する見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた応用研究の教材開発は,すでに終了したので今後は行わない。新たに付け加える電子コーパスの資料は,今後発展性があると思われるので,当初の予定にはなかったが,より充実させる方向でいきたい。話法の分析から出発して,日本語とフランス語のテクストレベルの総合的な対照研究を目指し,テクスト内での話法と引用の機能分析に基づき,対照言語研究の観点から見た,テクストの一般理論構築の第一歩を築く予定である。
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Research Products
(18 results)