2013 Fiscal Year Research-status Report
九州方言における条件表現の体系性に関する実証的研究
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24520482
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
中田 節子 (有田 節子) 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (70263994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 正 福岡大学, 人文学部, 教授 (20264707)
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Keywords | 条件表現 / 方言文法 / 佐賀方言 / 出水方言 / 上天草方言 / 上甑島方言 / 熊本方言 |
Research Abstract |
本研究は九州方言の条件形式の分布的特徴を明らかにし、方言特有の言語形式と共通語と同様の言語形式との間で世代差や共通語化においてどのような違いがあるのかを検証することを目的とする。多くの言語において条件性が明示的に標示される傾向があり、仮定性の高さと時間指示の高い相関が通言語的に見られる、すなわち仮定性の高さが文法的に標示される。それに対し、日本語共通語では、仮定性の高さよりも、事態の真偽が定まっていること、その定まった真偽を話し手が知らないことが条件形式で明示されるという特徴がある。この研究を通して、こうした共通語の特徴が、九州方言の方言固有の条件形式において一層顕著になることを示し、日本語方言文法研究から条件文の言語学的研究に寄与することを目指す。 2年目となる平成25年度は佐賀市での追跡調査、さらに佐賀市以外でギ形式が使われている地域として、出水市での調査を実施した。また、平成24年度の終盤に行った上天草および上甑島での調査結果を中間報告の形で専門家が多く集う研究会で発表した。平成24年度の終盤および平成25年度に2度に亘って熊本市での調査も実施した。この地域はギ形式は出ないのだが、トシャガという方言固有の形式が出現し、この形式は、ギ形式の出現する上天草でも観察されたが、甑島では観察されなかったものである。 現段階で明らかになっているのは、ギー形式が条件表現として広く使用される佐賀に対し、甑島、出水、上天草では、その使用は限定的であること、そしてその分布状況がそれぞれの地域で部分的に重なり合いながらも異なった特徴を見せているという点である。次年度はこの点をさらに明らかにすると共に、当初の予定どおり広域でのアンケート調査を実施し、一定の成果を公表するつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画の中心は、佐賀以外の地域の条件表現を調べることにあった。前年度の終盤にその一部である上甑島と上天草の調査に着手でき、平成25年度中にその成果の中間報告までができている。また、ギーを使わない熊本地域の調査を実施し、トシャガという方言特有の形式がギーと同様の働きをしている可能性を探ることもできた。諫早での方言調査が実施出来なかったので、これについては、平成26年度の早い時期に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、前半に諫早地域での調査と、甑島、上天草、そして出水での追跡調査を行い、これまでの調査の総括を行う予定である。その成果を7月の九州方言研究会で発表し、専門家からの助言を受けた上で、年度後半に成果の発表の準備に入る。必要に応じて、追跡調査を行う予定である。
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Research Products
(6 results)