2014 Fiscal Year Annual Research Report
ネパールのメチェ語の文法記述分析・ドキュメンテーションとボド語西部方言の調査研究
Project/Area Number |
24520485
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Research Institution | Mimasaka University |
Principal Investigator |
桐生 和幸 美作大学, 生活科学部, 教授 (30310824)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メチェ語 / 言語ドキュメンテーション / ネパール / チベット=ビルマ諸語 / 文法記述 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、3年間にわたりネパールで話されているチベット=ビルマ語派ボド・ガロ語支に属するメチェ語の記述研究を、言語再活性化を念頭に置き、言語ドキュメンテーションという観点から行ってきた。本研究の目標は、Kiryu 2008 の文法素描をさらに発展させるために、より詳細な文法記述を行うこと、若年層での話者が減少しつつある状況で、次世代につなぐための言語資料の整備、メチェ語使用地域に隣接するインド・西ベンガル州のボド語との相違についてさらに知見を深めることであった。最終年度の26年度は、ドキュメンテーションの資料整備に力を入れ、対話のビデオ録画と書き起こし、薬草についての話、物語、社会的タブーに関するインタビューなどの録画と書き起こしを行った。書き起こしたデータは、形態分析のできる Toolbox および動画と言語データをリンクできるELANにデータベースとして構築した。また、23年以降に収集したテキストデータおよび2012年に発刊したメチェ語の辞書データも含めを全文検索できるように全文検索サーバーを構築し、大学の個人サーバーに公開した。文法記述面では、他動性に関する論文を執筆し、国立国語研究所で行われた共同研究の場において発表したものを修正し、論文として取りまとめた。さらに、各表示体系について、単純な主格対格型ではなく、他動詞の場合の格マーキングが 主語と目的語の animacy の高さの違いに応じて表出されることを突き止め、7月に行われた第20回ヒマラヤ諸言語シンポジウムにおいて口頭発表を行った。現在、メチェ語の声調、名詞句構造、テンス・アスペクトについての成果を取りまとめ、27年度以降順次成果を公開していく予定でいる。また、これまで9年間にわたって蓄積してきたデータを基に、Kiryu 2008 の文法素描を発展させる形で、包括的な文法書の準備を行っていく。
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